2008 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジアの「非伝統的」安全保障 -国家の対処能力と地域協力体制の現状と課題
Project/Area Number |
19251005
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
ABINALES P N Kyoto University, 東南アジア研究所, 教授 (60314267)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細田 尚美 京都大学, 東南アジア研究所, 研究員 (70452290)
本名 純 立命館大学, 国際関係学部, 准教授 (10330010)
鬼丸 武士 政策研究大学院大学, 政策研究科, 准教授 (80402824)
相沢 伸広 アジア経済研究所, 地域研究センター, 研究員 (10432080)
白石 隆 政策研究大学院大学, 政策研究科, 客員教授 (40092241)
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Keywords | 非伝統的安全保障 / 東南アジア / 地域研究 / 越境犯罪 / 地域協力 |
Research Abstract |
東南アジアでは、近年、組織犯罪の増殖と地域化が著しく、麻薬取引や人身売買、違法伐採、海賊、武器密輸などが一国の対処能力を超えたネットワーク活動を展開している。本研究の目的は、以上に加えた非正規移住や感染症などの「越境問題」に代表される「非伝統的安全保障問題」に対し、東南アジアの各国政府はどのような対処体制をもっているのか、また現にある地域協力の枠組みは、どのようなものなのかを調査し、各国政府の対処能力の問題点と地域協力の課題を解明することである。本年度は二年度目の中間成果として、「外交フォーラム」2008年10月号において、「アジアにおける日伝統的安全保障と地域協力」という特集を組み、マラッカ海峡の海賊問題、新型インフルエンザ、木材の違法売買、マネー・ロンダリング等についてこれまでの現地調査で得られた結果を公表した。その上で、特集号では海賊対策や開発援助の課題そして地域協力の在り方について、非伝統的安全保障への対策・取り組みについて提言を行った。これまで、こうした越境犯罪の問題にかかる研究は細分化され、安全保障の問題は国際関係論、地域統合の問題は国際協力論、犯罪の問題は犯罪学、非正規移住の問題は労働経済学、感染症の問題は医学の守備範囲とされ、別々に論じられてきた。しかし、こうした問題にどう対処するかは、結局のところ、国家の対応能力と地域ガバナンスの問題といえるため、各国政治および、地域社会についての研究実績に基づいた地域研究的なアプローチが不可欠である。こうした問題関心に基づき、本年度は地域研究者による非伝統的安全保障に対するこれまでにない分析枠組みを発表した。
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Research Products
(26 results)