2009 Fiscal Year Annual Research Report
先住民をめぐる異化と同化の力学に関する人類学的研究
Project/Area Number |
19251011
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Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
スチュアート ヘンリ (本多 俊和) The Open University of Japan, 教養学部, 教授 (50187788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大村 敬一 大阪大学, 言語文化研究科, 准教授 (40261250)
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Keywords | 先住民(族) / 主流社会 / 植民地主義 / 国民国家 / 同化 / 異化 / 表象 / 力学 |
Research Abstract |
「混血」を民族表徴とするカナダ・メイティ社会における異化と同化の度合いの調査を通じて、新しいカテゴリーの先住民族の構図が明らかになった。また、北欧サーミを対象とする博物館の調査で、る異化と同化に関するデータを北米の状況との比較考察を行ない、サーミはコーモンローや条約に基づかない政治的な状況が提示されていることが明らかになった。(スチュアート) 現代メキシコの文化政治学的主張の根幹にある「多様性にもとづく統一性」の考察を行ない、メキシコ独立記念日諸行事における先住民表象について、先住民表象が古代文明に直結され、現代メキシコ社会においてその存在が無視されるようになってきたことが明らかになった。「多様性にもとつく統一性」が「進化論的に配置された多様性にもとつく統一性」へと条件化したことが示されている。(落合) 北アメリカ先住民文学と映像分野における作品制作の過程と研究の状況において、継続の中での周縁化の状況が近年再び現われていることを確認して、文学の歴史と北アメリカの社会状況を加味した作品の新しい分析を試みた。(室) イヌイトの同化と異化に関する調査では、ヌナブト準州におけるイヌイト語の諸方言をめぐる潜在的な抗争について、同じイヌイト語の内部において、方言同士での勢力争いが情勢を追究した。また、日常の食生活と食物分配についての参与観察では、生業で手に入れられる食べ物と現金で購入される食べ物の分配の間にある共通点と相違点について考察して、イヌイト社会の独自性を異化する分配の実践が、食生活がカナダ主流社会へ同化されつつも継続されていることを明らかにした。(大村) オーストラリアでは、北部準州のアボリジニの人々に対して、特別な「緊急措置」法を成立させ、彼らを差異化する新方針が展開されている。このような動きを研究者がどのように見ているかについて、アボリジニ研究の中心となる大学を訪れ、研究者との討論を重ねた。(窪田)
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Research Products
(12 results)