2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19252001
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉田 文和 Hokkaido University, 大学院・公共政策学連携研究部, 教授 (70113644)
|
Keywords | 循環型社会 / アジア / リサイクル / 越境移動 / バーゼル条約 |
Research Abstract |
気候変動政策問題は各種の地球環境問題の枠粗みをつくる環境政治問題となり、世界で2050年CO2半減の課題、とくに先進国では80%程度削減の課題は、「オバマのアメリカ」も認めるところめ長期的な政策課題となっているのである。低炭素社会構想もそれゆえに提起されているのであり、したがって、循環型社会構想も、気候変動問題の枠組みのもとに置かれることになることを認識すべきである。そこで「社会」面から概念を再度整理すれば、上位概念から、持続可能な社会、低炭素社会、循環型社会の順になると考えられる。日本の循環型社会構想は、もともと「天然資源の消費を抑えて、環境負荷を下げる」ところに目的があり、循環は手段であって目的ではないことに留意すべきである。これを踏まえて、低炭素社会と循環型社会の重なりと相違点を検討すれば、CO2はごみ問題として見ると、「重いごみ」問題(日本で年間排出量は、CO2 13億トン、廃棄物4億トン)であり.廃棄物問題よりもはるかに広い範囲の発生源があり、カバーすべき範囲も広範である.これに対して、廃棄物問題の独自性は、有害性の制御、安全な処理が眼目である。それ自体は毒性を持たないCO2問題との違いである。日本,韓国.中国など東アジア諸国は「世界の工場」として,欧米に対する製品輸出の基地となってきた。日本も依然としてデジタル製品と自動車の輸出依存が続き,その輸出競争力を強めるためという理由で,製造業の労働者派遣も認めた経緯がある。しかし,その結果,ますます対米依存を強め,今回のバブル崩壊の影響を強く受けることになったのである。アメリカ滞在中に,家電量販店を調査したが,日本国内の価格よりも安い価格設定で日本のデジタル製品の安売り競争の様相を呈していた。これは,輸出指向の経済が労働コスト削減で出来た製品は海外では安く,国内では高く売り利益を上げようとするが,しかし海外の消費動向と為替相場の変動にたえずさらされるという構造である。さらに輸出でため込んだドルによるアメリカ.国債の保有高も中国と日本が高く,アメリカの金融危機の影響をより強く受ける。そこで求められているのは,中国も日本も韓国も内需拡大と勤労者の「生活の質」改善,労働時間の短縮(ワークシェリングも含む)である。そのためにも,公共投資と環境対策を結びつけたグリーン・ニューディール政策が有効なのである。最後にアジアにおける省エネ環境協力の課題についてである。この場合には,言うまでもなく中国の経済成長の影響は非常に大きい。例えばリサイクルでみても,中国が,鉄のスクラップ,プラスチックまで全部吸い寄せていて,日本のリサイクル・システムも大きな影響を受けており、それから中国で環境影響物質がたくさん出されていて,日本にも影響が出ているということがある。特に中国は2000年から鉄鋼生産が3倍になっており,経済成長と収入増大に国民の目が向いている。したがって,中国自身にとってメリットがあるような形で,環境協力を,日本がどうやってできるかということが1番大事で,ポスト京都議定書の大きなポイントになってくる
|
Research Products
(4 results)