2009 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジア天水田稲作における産米林の機能解明と活用
Project/Area Number |
19255010
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
宮川 修一 Gifu University, 応用生物科学部, 教授 (60115425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
舟橋 和夫 龍谷大学, 社会学部, 教授 (80081173)
星川 和俊 信州大学, 農学部, 教授 (40115374)
竹中 千里 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (40240808)
大場 伸也 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (80221836)
川窪 伸光 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (60204690)
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Keywords | 東南アジア / 天水田 / 産米林 / イネ / 生育収量 / 微気象 / 熱帯樹木 / 熱帯昆虫 |
Research Abstract |
ラオスの定着調査地において,前年度に引き続き,調査対象木の形成する環境,周囲のイネの生育状況,ならびに対象木に棲息する小動物の生態に関する調査を行った.樹木の種類によるイネの生育・収量への影響については過去2年間の傾向と類似しており,促進する樹種と抑制する樹種の存在が確実となった.樹木周辺では全調査期間を通じて6657標本,2442種類の生息動物が確認された.動物の種類数が多かった樹種では,様々な食性を持つ動物から構成されていた.樹木からの落下物の乾物重,全炭素量ならびに全窒素量には樹種間で違いがみられ,イネの生育について農民の評価の高い樹種のほうが,低い樹種よりも多い傾向があった.水田の空中撮影によって算出した植生指数によれば集落からの距離が近いほど生育が良好で、距離が離れるほど悪くなる傾向が見られ,林縁部分における生育促進効果は明瞭ではなかった.栽培実験によってイネの収量に対する施肥量と遮光程度の効果を検討したところ,施肥量が多い場合には日射制限によって収量が低下したことから,稲作の近代化が進むと,水田の樹木がイネの生産に対する障害となってくることが予想された.水田の樹木にはシロアリ塚が形成されることが多く,この養分がイネの生育を促進する一要因であることが推測される一方,農民による多様な利用が認められた.塚の体積の変化を調査したところ,崩壊や水田肥料用等の採掘があったにもかかわらず,総体積では増加が認められた.塚の分布量から村の水田域全体の年間増加量を推定した結果,資源として持続的な利用が可能であるとみられた. 東北タイ東部及びラオス南部において,水田内及び畑地内の樹木の存在状況を観察したところ,地域によって分布密度にきわめて大きな差異があることが確認され,特にラオス南部では水田内に著しい高密度の分布がみられた.
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Research Products
(9 results)