2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19255014
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
石丸 隆 Tokyo University of Marine Science and Technology, 海洋科学部, 教授 (90114371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 征矢 東京海洋大学, 海洋科学部, 教授 (70114220)
栗田 嘉宥 東京海洋大学, 海洋科学部, 教授 (80106757)
神田 穣太 東京海洋大学, 海洋科学部, 教授 (60202032)
北出 裕二郎 東京海洋大学, 海洋科学部, 准教授 (50281001)
堀本 奈穂 東京海洋大学, 海洋科学部, 助教 (90345405)
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Keywords | 海洋科学 / 海洋生態 / 環境変動 / 極地 / 水産学 |
Research Abstract |
海鷹丸による,南大洋航海を実施した(H20年1月4日〜2月16日)。主たる調査海域は,(1)昭和基地沖、および(2)マックロバートソンランド沖である。(1)における調査は,極地研究所との共同研究であり,海洋構造,栄養塩分布,DMS(硫化ジメチル)の生成機構,二酸化炭素分圧,基礎生産,動植物プランクトン等に関する観測,採集を行った。硫化ジメチル,栄養塩およびクロロフィルに関しては船上で分析を行ったが,それ以外の試料については分析中であり,またデータの解析を行っている。(2)における調査は,主に南極底層水の形成過程を探求する研究であり、海洋構造を詳細に把握するほかに乱流計測を行った。 南極大陸周辺は深層水が形成される海域であるため、そこにおける変化は深層大循環を通じて全海洋、ひいては気候や生態系に影響する。(2)において得られた密度の等値線の分布は、夏季にも底層水あるいは底層水上部の水塊ができる可能性を示すものであり、どの程度形成されているのかを定量的に評価することができると期待される。地球温暖化に影響する二酸化炭素の大気-海洋間の収支や雲核形成に関与するDMSの生成は、海洋植物プランクトンの活動と密接に関連しており、一方、南大洋の生態系は、海氷の発達の程度に大きく影響される。本航海は、昨年よりも海氷が少なく南緯68度付近まで観測が可能であったが、クロロフィルは低濃度であり、DMS濃度も低かった。南大洋の生物相においては,気候温暖化に伴いナンキョクオキアミの減少,サルパ類の増加が指摘されている。本航海では、サルパ類はほとんど採集されず,またナンキョクオキアミは南緯60度でも大量に採集され,反対の結果が得られた。これらの観測で得られた海洋構造などの情報と併せて解析することにより、南大洋の海洋環境と生態系を解明し,また過去のデータとの比較によりその変動を明らかにすることが期待される。
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Research Products
(16 results)