2008 Fiscal Year Annual Research Report
知の伝達メカニズムを探る〜身振り伝達コミュニケーションに基づく行動の記憶と再生
Project/Area Number |
19300039
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
前田 太郎 Osaka University, 大学院・情報科学研究科, 教授 (00260521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 英由樹 大阪大学, 大学院・情報科学研究科, 准教授 (70447035)
雨宮 智浩 日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所, 人間情報研究部, 社員 (70396175)
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Keywords | ヒューマンインターフェイス / 暗黙知 / モデル化 / 脳・神経 / コミュニケーション |
Research Abstract |
本研究では教示情報を制御した場合の動作の達成度・習熟度を比較する手法で知の伝達メカニズムの解明を狙った,同実験では,体格,年齢を同じにする被験者によって,映像から運動の再構成を行った.このとき,特定の運動を教示する情報として,リズムに合わせた2種類の体操動作(アルゴリズム体操と太極拳)の伝達を想定しそれぞれに(1)目標となる動作のビデオをそのまま見せる,(2)ビデオを一定間隔にスチル分解してこれを順に見せる(3)他人に伝達するときの身振り動作(図1の「こうしてこうしてこうです」動作)中の止め動作のスチルを実際の時間間隔で配置した離散化ビデオを見せる3条件について行動の再現実験を行った.その結果,同じ情報量である条件(3)の再現性は条件(2)に比してはるかに情報量の多い条件(1)に近い精度を示した.また,並行してこの過程で(1)のビデオを元に(3)の離散化のための制止姿勢を選ぶに当たって「初めてその踊りを見る被験者に選ばせる(事前選択)」→「実際にその踊りを再現させる」→「動作再現後,再度離散姿勢を選択させる(事後選択)」という手順で2種類の離散姿勢を選択抽出し,それぞれの離散化データによって前述の実験を行った.この結果,1)事後選択においては運動速度の変化に着目している事前選択よりも動作の身体性を反映した姿勢が選択されることが明らかになった.これは行動の暗黙知が認識・記憶に反映された一例であり,実際にこの選択の変化が条件(3)の再現性を向上させることが確認された.これらの知見を昨年度から検証してきた牽引力錯覚提示利用の行動指示装置によるフィードバック補償に反映させることによって暗黙知の抽出と伝達を実現する新しい伝達手法を提案・設計することが出来る.
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