Research Abstract |
平成21年度に行った調査・分析は以下の通りである。 (1)国内主要11大学のWebサイトをクロールし,(1)産学連携情報の同定・抽出方法の検討,(2)大学・企業間リンクを利用した産学連携実態の分析を行った。(1)では,フィルタリング方法を3種類考案し,それらの方法を比較しつつ同定・抽出精度の改善を計った。(2)では,大学から企業へのリンクのアンカーテキストに注目して,産学間ウェブリンクを抽出した。リンク先企業の業種分析を通じて,大学・企業間リンクが形成された目的や産学連携活動との関連が明らかになりつつある。 (2)日本の研究者が関与した論文の著者数と論文数・引用度の関係に着目し,国際研究ネットワークの形成および産学連携の時系列変化との関連を重点的に分析した。その結果,著者数が多い論文ほど引用度が高いこと,その傾向は生医系で顕著であること,生医系では国内著者のみの論文と比べて同じ著者数でも海外著者を含む論文の引用度が約2倍であることなど,多くの事実が明らかになった。海外機関との共同研究の引用度の高さと学術研究の国際化との関係や研究ネットワークの形成メカニズムについて,今後さらに検討を進める予定である。 (3)海外との共著を詳細に分析すべく海外を三地域に細分した上で,合計8セクタに関する255パタンの時系列データを用意し,次元の分割による統計解析を行った。ただし,得られた結果は必ずしも解釈しやすいものではなく,状況・関係を理解しやすく表現する手法を考えることが今後の課題として浮かんでいる。 成果は国際学会・国内学会で発表したほか,国際・国内学術誌にも投稿し,内外の研究者との意見交換・情報発信・共同研究等を積極的に行った。産学連携,科学技術などに関する政策の有効性を評価するには,客観的データに基づく統計的分析,計量的評価の努力が欠かせない。これまでの成果を踏まえて,今後もさらに研究を継続する予定である。
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