2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19300084
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
正村 俊之 Tohoku University, 大学院・文学研究科, 教授 (00209420)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 薫 学習院大学, 法学部, 教授 (70252054)
山内 志朗 慶応大学, 文学部, 教授 (30210321)
伊藤 守 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (30232474)
大黒 岳彦 明治大学, 情報コミュニケーション学部, 教授 (30369441)
柴田 邦臣 大妻女子大学, 社会情報学部, 専任講師 (00383521)
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Keywords | コミュニケーション / 身体 / メディア / 情報 / 情報空間 / リスク / ユビキタス技術 / クラウド・コンピュータ |
Research Abstract |
情報ネットワークの究極の形態としてのインターネットが時空的距離の圧縮によって世界のグローバル化を推し進めたのに対して、さまざまな物質に人工知能を埋め込むユビキタス技術は、物質が占める時空的位置の重要性を高め、それによつて「意味世界と物質世界の境界変容」という新しい原理的問題を突きつけている。本研究は、こうしたユビキタス時代を射程に入れた、社会情報学基礎論としてのコミュニケーション理論の構築を企図している。 研究2年目にあたる平成20年度は、前年度に引き続き、伝統的なコミュニケーション論を四つの要素-(1)個人を分析的単位とみなす「主体主義=個体主義」、(2)行為者の意図・動機に基づいてコミュニケーションを説明する「心理学的意味論」、(3)行為とその因果的帰結を一対一のリニアな関係で捉える「古典的因果論」、そして(4)言語を中心に捉える「言語モデル」-によって特徴づけた上で、伝統的なコミュニケーション論を乗り越えるための作業を行った。山内と大黒は、哲学的視点から身体と情動の関係を検討し、伊藤は、現代社会における情動のもつコミュニケーション論的意義を社会学的視点から論じた。一方、遠藤は、社会の構成において果たす情報・リスク・信頼の役割を検討し、柴田は、最新の情報技術がもたらす生活空間の変容を分析した。そして正村は、伝統的なコミュニケーションの流れを概観した上で、情動・リスク・信頼・情報技術がすべて関わってくる問題として昨年発生した金融危機(恐慌型不況)を取り上げ、そのコミュニケーション論的分析を行った。 現在、原稿の執筆中でもあり、その成果は勁草書房から刊行される予定である。それが終了次第、三年目の課題に取りかかる。
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