2008 Fiscal Year Annual Research Report
前方後円墳のシステム型理解にもとづく古墳時代の情報学的復元
Project/Area Number |
19300086
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
小沢 一雅 Osaka Electro-Communication University, 情報通信工学部, 教授 (40076823)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猪原 正守 大阪電気通信大学, 情報通信工学部, 教授 (40184791)
加藤 常員 大阪電気通信大学, 工学部, 准教授 (50202015)
福永 伸哉 大阪大学, 文学研究科, 教授 (50189958)
北條 芳隆 東海大学, 文学部, 教授 (10243693)
岸本 直文 大阪市立大学, 文学研究科, 准教授 (80234219)
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Keywords | 考古学 / 日本史 / 情報システム / モデル化 / 情報工学 |
Research Abstract |
前方後円墳をめぐる古代世界の実像を解明するという本研究の目的に沿って、当初の研究計画に沿って研究調査を行い、以下のような実績をあげた。前年度までの重要な成果として、古墳時代の開始年代を決定するもっとも重要な鍵になる古墳は奈良県桜井市の箸墓古墳であるとの観点から、箸墓古墳の年代決定の鍵は、崇神天皇がいつ頃の天皇なのか(崩御年はいつか)という問題と深く関わっていることを明らかにし、数理的に崇神天皇の崩年を推定した。一方、邪馬台国畿内説と関連した見解として、昨今再評価されつつある笠井新也説の根元が、古事記に記載されている崇神天皇の干支崩年・戊寅年を西暦258年と解釈しようとするところにあるとみなして、本年度、これが誤りであることを立証することに重点をおいた調査研究を行った。立証の方法として、種々のアプローチを試み、天皇の「連続三代の在位年数」を古代から昭和天皇までの全期間にわたって算出することによって統計的に歴然とした立証が可能であることを突きとめた。この結果、箸墓古墳が卑弥呼の墓であるという笠井新也説が完全に誤りであることが立証できることとなった。この件について、現時点までには、学会その他でいっさい内容を公開していない。この結論は、前年度までの成果を明確に補強するとともに、日本古代を新しい視点で復元する重要な基礎になると考えられる。本年度までに得られたこうした重要な知見を、まずは単行本の形で集約して出版し、一般層を含めた識者に広く意見をもとめていく手法が本研究の目的にかなうと判断し、その執筆に注力した。平成21年度中に、当該単行本が出版できる見通しを得ている(執筆は3月末までに完了している)。こうした執筆作業と並行して、東海(岐阜県)および九州(熊本県)地方の主要前方後円墳を実地見分し、データ収集も実施した。
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