Research Abstract |
20残基からなる小さなタンパク質,TrpCageについて,水を露わに取り入れた分子動力学シミュレーションをプログラム:MARBLEを用い,東工大のスパコングリッドマシン:TSUBAME上で実行した.まず伸びた形のタンパク質をコンピュータの中に作製し,水を配置し,最適化計算を行った.その後,圧力一定の分子動力学計算を行い,単位ボックス周辺の水を緩和させた.更に温度一定の分子動力学計算を実行し,タンパク質が十分まるまり小さくなったところでボックスサイズを調整し小さくした.この計算を50ns,30本実施した.また,90残基程度のタンパク質について,水を露わには取り入れないフォールディングシミュレーションを実行した.新しい軌道解析法:遍歴プロフィール法について,研究開発を行った.この方法では軌道をそれが含む構造クラスタの種類として表現する.構造クラスタの種類を比較することで軌道分類が可能となる.フォールディングを含む軌道,擬フォールディングを含む軌道,フォールディングを含まない軌道,などの属性と軌道分類の対応をみることで,属性を表現するのにどういう軌道が典型的なのか,またそれらを特徴付ける構造クラスタとはどういうものなのか,を解析することが可能となる.遍歴プロフィール法をTrpCageのデータ(水を露わには含まない計算結果)に適用したところ,正しいフォールディング軌道と誤ったフォールディング軌道の分割は時間発展の初期段階で発生すること,その要因は主鎖構造が左巻きか,右巻きか,というものであることが分かった.
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