2008 Fiscal Year Annual Research Report
候補サイトの空間分布に注目した信頼度の高いタンパク質ドッキング判定手法の開発
Project/Area Number |
19300102
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
秋山 泰 Tokyo Institute of Technology, 大学院・情報理工学研究科, 教授 (30243091)
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Keywords | 蛋白質 / ドッキング / 高性能計算 / バイオインフォマティクス |
Research Abstract |
H20年度は下記の成果を得た。 ・独自ドッキングソフトウェアの改良 昨年度に作成した独自ソフトウェアは、Katchalski-Katzir(1992)の表面形状相補性の計算を中核としたものであったが、ここに物理化学的相互作用を加える研究を進めた。表面形状相補性についても、ZhangらのZDOCKで提案されたPSC関数と同様に深いクレフト部とのマッチに高得点を与える方式に改良した。ただし既存のPSC関数はそれだけで複素数の演算を必要としてしまうが、実数のみで同等の効果を与えるrPSC(real PSC)を新たに提案した。残った虚数部を利用して表現可能な相互作用を検討した結果、疎水相互作用ではなくクーロン相互作用をモデル化することを選択した。FTDOCKと類似のスキームにより、場と場の相関計算のみでクーロン相互作用をモデル化(Elec項)した。CHARMMの力場から再計算することによりFTDOCKよりも表現精度を上げた。rPSC項とElec項を実数部と虚数部に表現することにより、計算時間の顕著な上昇なしに、ZDOCK3.0と匹敵する性能を実現した。 ・ドッキング後処理の充実 当課題の目標は、ドッキングの後処理により疑陽性を減らし、感度と信頼度の高いドッキング予測を実現することにある。昨年度に実装した6種類のクラスタリング法を実問題で比較したところ、1対1での候補「サイト」の正確な予測と、多対多での候補「タンパク対」の予測では取るべき手法が異なるという興味深い結果を得た。後者の網羅的予測では群平均法が適する。昨年度に提案した平行移動の誤差と回転の誤差を同列に扱う手法を採用し、得られたクラスタのメンバー数や、各クラスタのスコアの最大値などの数値をどう用いるべきかについて、数十×数十個規模の複数の評価実験の結果から検討した。クラスタリング非実行時との有意なROC曲線の改善等を示した。
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Research Products
(13 results)