2009 Fiscal Year Self-evaluation Report
An exhaustive all-to-all protein-protein interaction prediction algorithm based on 3-D shape complimentarity and its statistical distribution on protein surface.
Project/Area Number |
19300102
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
Bioinformatics/Life informatics
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
AKIYAMA Yutaka Tokyo Institute of Technology, 大学院・情報理工学研究科, 教授 (30243091)
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Project Period (FY) |
2007 – 2010
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Keywords | 蛋白質 / ドッキング / 高性能計算 / バイオインフォマティクス |
Research Abstract |
各種の生物のゲノム情報が急速に読み取られ、生体細胞を構成する要素としての遺伝子やタンパク質の列挙的な理解が大きく進展した。2000年頃からは、これらの要素間のシステム上での関係を研究する「システム生物学」(Systems Biology)が勃興し、遺伝子制御ネットワーク、タンパク質相互作用ネットワーク、化合物の代謝ネットワークなど、各種の細胞内ネットワークを実験計測と計算の融合により求める研究が深化している。 本研究は、タンパク質-タンパク質間相互作用(Protein-Protein Interaction ; PPI)ネットワークの解明を支援する新たな計算論的な手段の提供を目的として、タンパク質立体構造を活用したドッキング計算に基づき、任意の2つのタンパク質構造間での相互作用の可能性の有無を網羅的かつ高速に判定する計算手法の開発を行う。生体内ではタンパク質間の会合を通じて、複雑な機能を有する複合体の形成、シグナル伝達、物質の細胞内輸送など多くの現象が制御されており、PPIを知ることは「生命機能のシステム的理解」を支える最も重要な柱の一つである。PPIを調べるための様々な実験計測手法(LC-MS/MS,Y2H,FRET等)が発展し、網羅的な解析プロジェクトも進みつつあるが、タンパク質の組合せは膨大であることから、計算論的な手法による予測への期待は大きい。 本研究では、提案者らが開発中の独自のタンパク質ドッキングソフトウェアの評価関数および計算アルゴリズムに改良を重ねて、我が国最高速の並列計算機を活用した網羅的な評価実験を行う。計算の中核は主に構造表面の幾何学的な相補性に注目するものであるが、静電相互作用をはじめとする物理化学的相互作用についても計算量を増大させないよう慎重に工夫しながら計算に加える。 PDBデータベースに登録済のタンパク質立体構造から、システム生物学上のテーマ等に基づき重要度の高い集合を選び出し、その変形構造なども考慮した上で、少なくとも数百×数百通りの網羅的なドッキング計算を実施し、最終的には1000×1000(百万通りのペア)級を越える計算の提供を目指す。 ドッキングの解を選ぶ際、自由エネルギーの見積値といった従来の物理化学的な概念とは異なる視点も重視し、特に候補となるドッキングサイトのタンパク質表面での分布の特徴やその統計的有意性に注目して、計算によって得られた解の「信頼度」を数値的に提示する方法を開発する。従来の技術では、比較的良くドッキング現象を捉えた正しい計算結果が、スコア数値だけは高いが生物学的には到底信頼できないドッキング予測と混在しており、両者の判別が困難であった。もしもこの両者をきちんと切り分けて提示することができれば、利用者は可能性の高いペアだけを選び、実験へのフィードバックを的確に行うことが可能となろう。「信頼度」の定量的な目安を与えることができれば、その閾値をユーザが選ぶことにより、感度(Sensitivity)と選択度(Specificity)のバランスを変化させて、信頼度の高い予測や、逆に新規の相互作用の発見につながる感度の高い予測を行うことが可能となる。 配列解析におけるBLASTのように、ユーザがクエリ構造を入力すると、既知構造との間で網羅的計算を行い、相互作用候補のタンパク質を順位表示する機能の提供も目指す。
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Research Products
(5 results)