2008 Fiscal Year Annual Research Report
線状態ニューロン-グリアネットワークにおける自発活動の計測・解析とそのモデル化
Project/Area Number |
19300105
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小山内 実 Osaka University, 大学院・工学研究科, 講師 (90286419)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土居 伸二 大阪大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (50217600)
八木 哲也 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50183976)
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Keywords | 生体生命情報学 / 神経科学 / 神経ネットワーク / 自発活動 / イメージング / ニューロン / グリア |
Research Abstract |
本研究は、線条体における情報処理機構の解明を目的とする。神経ネットワークにはニューロン、グリア細胞が混在しているため、グリア細胞とニューロンを明確に区別するために、グリア細胞に蛍光タンパク質であるGFPが導入された遺伝子組換えマウス(FVB/N-Tg(GFAPGFP)14Mes)を用いて研究を進めた。 (i)ニューロン、グリアにおける自発Ca^<2+>振動の特徴の差異 自発Ca^<2+>振動のシングルイベントを抽出し、抽出されたイベントごとのデータより、自発Ca^<2+>濃度変化の特徴量(振幅、持続時間、立ち上がりの傾きなど)を取り出して、解析を行った。その結果、ニューロンとグリア細胞とで、振幅、持続時間、立ち上がりの傾きの分布が異なることが明らかとなった。 (ii)人為的に作成した異常な神経ネットワークにおける自発Ca^<2+>振動の解析 様々な神経伝達阻害剤を用いて、異常な神経ネットワークを人為的に作成し、正常な状態で得られた結果との比較を行った。自発Ca^<2+>振動は活動電位の阻害により無くならないが、ニューロンでは自発Ca^<2+>振動の振幅、持続時間、立ち上がりの傾きの分布が変化し、グリア細胞では変化しなかった。また、近年パーキンソン病の病態を改善することが報告されている、代謝型グルタミン酸受容体5型の阻害剤MPEPを投与することにより、ニューロン、グリアのどちらも、自発Ca^<2+>振動が有意に減少した。 以上の結果より、本研究で対象とした線条体における自発Ca^<2+>振動は、活動電位で惹起されているものではないが、神経活動の有無により影響を受けることが分かった。また、代謝型グルタミン酸受容体を介したIP3産生が自発Ca^<2+>振動の原因の一つであることが示唆された。
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