2007 Fiscal Year Annual Research Report
神経活動依存的な遺伝子発現誘導とシナプス構築の分子機構
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19300107
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
能瀬 聡直 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (30260037)
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Keywords | シナプス / 神経回路 / ショウジョウバエ / 運動神経 / 筋肉 / マイクロアレイ / 遺伝子発現 / prospero |
Research Abstract |
シナプスの形成や可塑的過程における長期的な状態変化には、遺伝子発現を介した新たな蛋白質合成が必要であることが知られている。しかし、実際に、どのような遺伝子の発現が誘導され、さらに誘導された遺伝子がどのような働きをすることが、シナプスの形成・成熟や可塑的変化につながるのかについては、ほとんど分かっていない。本研究申請では、この問題に対する解答を得ることをめざし、ショウジョウバエの神経筋シナプスを材料とし、マイクロアレイ技術を用いた解析を行った。 昨年までの研究において、神経支配の前と後の発生時期の筋肉を単離し、遺伝子発現のプロファイリングを行ない、約500個の遺伝子の発現量が、再現性よく変化していることを見出した。本年度は、さらに神経支配が起こらない突然変異体prosperoを利用し同様の実験を行い、神経支配依存的に発現に変化を生じるような遺伝子を絞り込むことを試みた。prospero変異体の胚を解剖して展開した試料から、マイクロピペットを用いて個々に筋肉を40本単離した。回収した筋肉よりmRNAを抽出し、増幅後、マイクロアレイ解析のためのプローブとして用いた。得られた遺伝子発現のプロファイルの比較解析により、神経支配の有無によって発現に差のある遺伝子を同定した。さらに、この比較と、シナプス形成の前後の比較のデータをあわせることにより、神経支配により発現誘導されていることが強く示唆される候補遺伝子を71遺伝子、発現抑制されていると示唆される候補遺伝子を11遺伝子同定することに成功した。現在、これらの遺伝子について、機能解析を行なうことにより、シナプス形成における役割を調べている。
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