2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19300110
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
丹治 順 Tamagawa University, 脳科学研究所, 教授 (10001885)
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Keywords | 前頭前野 / 情報統合 / 数量表現 / 感覚情報 / 脳高次機能 / 行動発現 / 神経細胞 / 霊長類 |
Research Abstract |
大脳外側前頭前野の機能を解明するために、脳内の複数の情報を統合して必要とする情報に変換する過程における役割を検索した。具体的には、視覚・聴覚・体性感覚の3種の情報が外側前頭前野でどのように統合され、抽象的な情報のひとつである数量情報として抽出されるかというテーマに焦点を絞り、異種情報の統合から数量情報の表現に至る過程に前頭前野の細胞が如何に関与するかについて、活動の動態を調べた。ニホンザル2頭を訓練し以下の課題を学習させた。第一に、視覚信号として眼前のスクリーンに図形を表示した。同一図形を0,5秒間ずつ4回表示し、4回目の表示から1秒以内にキー操作による応答を行わせた。第二に、聴覚信号としてトーン信号を与えた。0,5秒ずつ、4回の聴覚信号を与え、4回目の信号開始後1秒以内に応答することを要求した。第三に、体性感覚信号として高頻度振動刺激を与えた。このために皮膚刺激プローブを用い、200ヘルツの振動を0,5秒間、4回与えて応答させた。以上の課題において、外界からは数量自体の情報は与えられないので、個体自らが脳内に数量情報を形成し、信号の回数を認知することを必要条件とすることが重要である。すなわち、3種類の感覚信号から数量情報の脳内生成を課することとなる。課題学習が完成したことを確認した後に、外側前頭前野の細胞活動を広い部位から網羅的に調べる実験を開始した。3種類の感覚種に対して統合が進行する段階に応じ、前頭前野のどの部位が、頭頂連合野・側頭連合野のどの領域と入出力関係を有するかを検討するとともに、数量情報が出現する過程に応じて、細胞活動の動態がどのように変遷するかを詳細に解析し、その時間構造を明らかにした。
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Research Products
(10 results)