2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19300110
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
丹治 順 Tamagawa University, 脳科学研究所, 教授 (10001885)
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Keywords | 前頭前野 / 情報統合 / 数量表現 / 感覚情報 / 脳高次機能 / 行動発現 / 神経細胞 / 霊長類 |
Research Abstract |
霊長類の大脳外側前頭前野の行動制御に関する役割を解明するために、多様なアプローチによる実験研究を行った。まず第一に、ヒトを被験者とし、行動のルール判定に関与する前頭葉の領野とルールに基づいて行動を実行する領野の区別を試みた。2種の異なったカードから正答を選択するに当たって、第1は確率ルール、第2は順序ルールに依拠することを要求した。最初の6回の選択試行において、被験者はそのどちらが正しいルールかを判定し、その後は判定したルールに従って動作選択を行う課題を設定した。その課題遂行中にfMRIにより脳活動を計測・解析した。その結果、ルールを判定する段階においては、前頭前野内側後方部に顕著な活動が見出された。ルールに準拠して行動を行っている際には、その部位の活動は顕著ではなく、むしろ外側前方の前頭前野の領域が活動していた。この事実は、行動のルール判定における前頭前野内側後方部の役割を示すものである。 次に、霊長類動物を実験対象として、脳内の複数の感覚情報を統合し、必要とする情報に変換する過程における役割を検索した。異種情報の統合から数的情報の表現に至る過程に前頭前野の細胞が如何に関与するかについて、活動の動態を調べた。3種類の感覚種に対する短潜時の反応は、外側前頭前野のそれぞれ固有な部位に分布し、視覚、聴覚、体性感覚のいずれか一つに対する応答であったが、長潜時の応答においては異種感覚種の応答を示す細胞があった。さらに、感覚種によらずに、感覚信号の回数を表現する細胞も存在することが見出された。この事実は、行動に必要な感覚情報の変換過程が前頭前野内部で生ずる可能性を示唆する。
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Research Products
(13 results)