2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19300114
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
重本 隆一 National Institute for Physiological Sciences, 大脳皮質機能研究系, 教授 (20221294)
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Keywords | 海馬 / グルタミン酸受容体 / 左右差 / 記憶 / シナプス / スパイン / NR2B / GluR1 |
Research Abstract |
一般的によく言われる右脳と左脳の機能の違いについては、数多くの心理学的な実験から明らかになっています。例えば左右の脳の機能的な違いは、言葉は左脳優位、空間認知は右脳優位、と知られています。しかし、この機能的な違いを、脳の神経の構造レベルに着目して研究した例はありませんでした。具体的には、脳の中の神経のつながり方など、細かい構造の違いや、つながり方の違いは分かっていませんでした。本研究では、脳の中の記憶をつかさどる海馬におけるシナプスの形や大きさ、その右脳と左脳での違いを、電子顕微鏡を用いてミクロの構造レベルで明かにしました。海馬(とくにCA1と呼ばれる場所)にある神経シナプスの形を調べたところ、色々な大きさのものがあり、小さなものや、大きなマッシュルーム型のものも見つかりました。そして、このシナプスの大きさの違いは、そのシナプスに存在するグルタミン酸受容体のたんぱく質の分子の数(密度)の違いと関係していることが分かりました。また小さいシナプスと大きいシナプスでは、豊富に含まれるグルタミン酸受容体の種類も異なっていました。シナプスのつながり方を調べたところ、左脳と右脳では、つながり方によってシナプスの大きさと受容体の密度が左右非対称になっていることが分かりました。例えば、左脳では同じ左脳からの信号(海馬CA3領域からの信号)を受け取るシナプスは小さく、反対側の右脳からの信号を受け取るシナプスは大きくなっていました。また、右脳ではそれと正反対になっていました。
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Research Products
(2 results)