2008 Fiscal Year Annual Research Report
ゼブラフィッシュ脊髄運動系神経回路の形成機構および回路機能の解析
Project/Area Number |
19300118
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Research Institution | National Institutes of Natural Sciences Okazaki Research Facilities |
Principal Investigator |
東島 眞一 National Institutes of Natural Sciences Okazaki Research Facilities, 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 准教授 (80270479)
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Keywords | ゼブラフィッシュ / 神経分化 / 非対称分裂 / トランスジェニック |
Research Abstract |
脊動物中枢神経系発生の際の、神経細胞の分化機構の詳細には不明な点が多い。我々は、ゼブラフィッシュを用いてこの課題にアプローチしている。特に本研究では、脊髄のp2と呼ばれる前駆体領域から発生してくる神経細胞の分化機構に焦点をあてて解析を進めた。この領域からは、2種類の介在ニューロン、V2aとV2bニューロンが生じることがすでに知られていたが、その分化機構の詳細は不明であった。p2前駆体細胞の最終分裂直前にGFPを発現するトランスジェニックゼブラフィッシュTg[vsx1:GFP]を作成し、GFP発現細胞の継時観察を行った。その結果、p2前駆体細胞の大部分は、一度だけ分裂し、V2aとV2bニューロンを対で生むことが分かった。この結果は、V2aとV2bニューロンが一対のニューロンを生じる分裂、かつ非対称な分裂によって生じることを示している。さらに、Delta-Notchシグナリングの相互作用が姉妹細胞間で起こることが、この分裂が結果として非対称になるために重要な役割を果たしていることを示唆する結果も得られた。この細胞運命決定のメカニズムはショウジョウバエの神経母細胞が、非対称分裂によって二つの異なるニューロンを生じる場合と良く似ている。しかし、ショウジョウバエの場合と異なり、ゼブラフィッシュのp2前駆体細胞の分裂軸の方向は決まっていないことも分かった。これらの結果は、脊椎動物の神経発生において、一対のニューロンを生じる神経前駆体細胞の最終分裂が、分裂軸の方向性に依存しないメカニズムを介して、二つの異なるニューロンを生むことができることを示している。
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