2009 Fiscal Year Annual Research Report
Alzheimer病:脳βアミロイド沈着防止方法の神経病理学的検討
Project/Area Number |
19300122
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
山口 晴保 Gunma University, 医学部, 教授 (00158114)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 隆 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (60239605)
佐々木 惇 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (80225862)
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Keywords | アルツハイマー病 / 認知症 / βタンパク / アミロイド / タンニン酸 / ganglioside |
Research Abstract |
アルツハイマー病の脳βアミロイド沈着機序を検討するため、新たに作成したβタンパクのC末断端43および38特異抗体を用いてアルツハイマー病および健常高齢者脳を検索した。βタンパク42は非認知症脳の沈着初期から蓄積することが知られているが、βタンパク43が42とほぼ同時期から一緒に沈着し始めることを40~50歳代の非認知症脳で示した。また、βタンパク38が血管平滑筋で産生され、アミロイド・アンギオパチーには初期から多量に沈着することを示した。βタンパクの長さにより、沈着開始部位が異なるので、βタンパクのγ切断部位が脳βアミロイド沈着に大きく関係することを示した。 また、gangliosideのGM1を欠損しGM3が蓄積するトランスジェニックマウスをAPPトランスジェニックマウスと掛け合わせて、gangliosideがβアミロイド沈着に及ぼす効果を検討し、このGM1欠損/GM3蓄積マウスではβアミロイドが血管に多量に蓄積することを示した。 さらに、タンニン酸(植物由来のポリフェノール)をアルツハイマー病の病態モデルマウス(PSAPPマウス;APP_<SW>,PSEN1dE9)に経口投与し、認知機能障害とアルツハイマー様病態(脳アミロイド症・グリオーシス)に対する効果を検討した。経口投与は、6ヶ月齢より開始し6ヶ月間行った。タンニン酸の長期経口投与により、PSAPPマウスで観察される過活動、物体認識障害、空間認知機能障害などの行動学的障害が有意に改善した。さらに、タンニン酸を投与されたPSAPPマウスでは、脳実質・脳血管のアミロイドβ蛋白沈着および脳内アミロイドβ蛋白レベルの有意な減少が観察された。タンニン酸が、脳βアミロイド沈着を押さえ、認知症の発症を遅らせる物質になる可能性を示した。
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