2007 Fiscal Year Annual Research Report
久山町研究における病理所見別にみた変性型認知症の危険因子の決定とその意義
Project/Area Number |
19300125
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩城 徹 Kyushu University, 大学院・医学研究院, 教授 (40221098)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 諭 九州大学, 医学研究院, 准教授 (90294917)
佐々木 健介 九州大学, 医学研究院, 助教 (80380616)
谷崎 弓裕 九州大学, 医学研究院, 学術研究員 (30437785)
清原 裕 九州大学, 医学研究院, 教授 (80161602)
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Keywords | 認知症 / アルツハイマー病 / 老人斑 / 神経原線維変化 / 糖尿病 / 耐糖能異常 / 生活習慣 |
Research Abstract |
久山町コホート研究では1998年の第3集団から認知症調査を開始した。本研究ではアルツハイマー病とレビー小体型認知症について詳細な神経病理学的定量解析を行ない、様々な検診データとの相関を統計学的に解析し、生活習慣がどうような変性型認知症の病理所見の形成に関与し、その有病率を増加させているかを解明する事を目的としている。これまで様々な調整因子を考慮した解析の結果、耐糖能異常は脳血管性認知症よりもむしろアルツハイマー病において高い危険因子であることを明らかにした。本年度は耐糖能異常が主に老人斑と神経原線維変化のいずれに強い相関があるかを統計学的に検討した。久山町住民のうち非認知症68例を含む連続剖検102例(1998年10月1日〜2001年3月31日)のデータセットを構築し、脳組織切片を用いて平野銀染色およびタウ染色を行い、アルツハイマー病の神経病理学的変化について病変の強さを判定した。老人斑はCERAD分類、神経原線維変化はBraak分類を用いた。耐糖能異常については目本糖尿病学会が示した基準により、耐糖能異常(IGT)と糖尿病(DM)に分類し、統計学的処理を行なった。連続剖検102例のうちIGTは48例(47.1%)(うち、DMは19例(18.6%))であった。85歳以下の群で、IGTの有無と老人斑の程度に、有意ではないが軽度の関連を認め、DMの有無と神経原線維変化の程度には有意な相関が認められた。しかし、86歳以上の群では、DMの有無とアルツハイマー病の程度に相関がみられなかった。85歳以下ではIGTおよびDMがアルツハイマー病の病理所見を増悪させることが統計学的に示された。一方、86歳以上では、IGTやDMよりも加齢による影響が大きいと考えられた。
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Research Products
(3 results)