2007 Fiscal Year Annual Research Report
小脳分子層抑制性ニューロンの発生・分化機序および機能的役割の解明
Project/Area Number |
19300127
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
田中 光一 Tokyo Medical and Dental University, 大学院・疾患生命科学研究部, 教授 (80171750)
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Keywords | 小脳 / 抑制性ニューロン / 発達 / ノッチ / グリア細胞 |
Research Abstract |
小脳は運動学習の中枢であり、その神経回路網は形態学、電気生理学的に詳細に解析されてきた。しかし、小脳形成過程の分子メカニズムはほとんど不明である。 Notchシグナルは神経幹細胞から神経細胞への分化を抑制し、神経幹細胞の維持に働くことがよく知られている。その一方、グリア細胞においても成熟過程に関与することが報告されている。このことから、グリア細胞の成熟過程においてNotchシグナルがグリア細胞の形態形成や遊走過程に関与する可能性が考えられた。そこで、アストロサイト特異的に発現することが知られている中間径フィラメントであるGFAPのプロモーターの下流にCreをつなげたGFAP-CreマウスとNotchシグナルの下流に存在するRBP-Jのfloxマウスを交配することで、グリア細胞特異的にNotchシグナル(RBP-J)を欠損したマウス(以下、RBP-J欠損マウス)を作製し、解析した。成体RBP-J欠損マウスは、バーグマングリアの形態異常、細胞体の位置異常が顕著に見られ、さらには、バーグヤングリア細胞数の減少がみられた。表現型の経時的解析、バーグマングリアの細胞増殖と細胞死について解析した結果、細胞増殖には異常が見られなかったが、生後において位置異常を顕著におこしたバーグマングリアの細胞死が増えていることがわかった。以上の結果から、RBP-Jを欠損したバーグマングリアは位置異常をおこし、位置異常を顕著におこしたバーグマングリアが細胞死をおこすことで、結果的にバーグマングリアの細胞数が減少することが示唆された。また、Notch受容体のどのサブタイプがバーグマングリアの位置決定に関与するかを調べるために、Notchl、Notch2両方を同様に欠損させたところ、小脳の後葉において、RBP-J欠損マウスと同様に、バーグマングリアの位置異常、形態異常、細胞数減少が見られた。
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