2007 Fiscal Year Annual Research Report
老化脳機能制御への基盤分子に関する研究:神経骨格制御から神経寿命制御へ
Project/Area Number |
19300130
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
森 望 Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00130394)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森井 博吏 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (00345795)
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Keywords | 神経可塑性 / 老化 / 可塑性 / スパイン / アクチン骨格 / HOAC / Shc / 海馬 |
Research Abstract |
本研究では、老化脳における神経可塑性の分子機構をアクチンや微小管骨格系に係る構造的側面から解明し、老化脳における機能低下の原因を探ることを目的とする。 本年度は、(1)in vitro 神経細胞老化モデルの樹立、(3)老化脳におけるチューブリン脱アセチル化酵素HDAC/Sirt2、(2)N-Shc系分子によるスパイン形態制御について結果を得た。 (1)in vitro 神経細胞老化モデルの樹立: 現在、神経老化の研究の多くは動物実験により行われており、詳細な分子解析を行う障害となっている。そこで、in vitro モデルを作製するため、初代培養の長期培養を試み、10ヶ月以上培養することに成功した。この様な細胞は、Lipofscinなどの細胞老化マーカーの加齢に伴う増加が見られ、in vitro 神経老化モデルの樹立に成功し、神経老化の分子機構を解明する足がかりを得た。 (2)老化脳におけるチューブリン脱アセチル化酵素HDAC6、SIRT2:マウスの加齢(10、59、121週齢)とともに、大脳皮質や海馬においてHDAC6の発現増加と蓄積が見られたが、SIRT2では見られなかった。初代培養系では、HDAC6強制発現によるアグリゾームの形成が報告されており、このようなHDAC6蓄積物の増加が、神経老化の原因(または結果の一部にあると想定された。 (3)N-Shcとスパイン形態: 海馬初代培養神経細胞へのN-Shcの遺伝子導入により、スパインは退縮/消失した。N-Shcノックアウトマウスでは、in vivoおよび初代培養系でもスパイン密度の顕著な増加が見らた。逆に初代培養系へN-Shc遺伝子を導入するとその数が野生型のレベルに戻った。この様な現象は、Sck/ShcBでは見られずN-Shc特異的なものであり、可塑性制御においてN-Shcが重要な役割を担っていることが明らかになった。また、N-Shcと直接結合するRho-GAP/GritRICSがHomerとも共沈することが明らかになったので、N-Shc-Grit系からHomerを介するアクチン骨格再編成/スパイン形態制御の可能性が見えてきた。次年度はその分子機構を明らかにする必要がある。
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