2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19300134
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
澤本 和延 Nagoya City University, 大学院・医学研究科, 教授 (90282350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣田 ゆき 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教 (00453548)
金子 奈穂子 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 研究員 (20464571)
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Keywords | 再生医学 / 神経科学 / 脳・神経 / 脳神経疾患 / 発生・分化 |
Research Abstract |
成体脳においても、側脳室周囲の「脳室下帯」ではニューロンの産生が続いている。脳室下帯の神経幹細胞/前駆細胞から産生された幼若ニューロンは、脳の最前端に位置する嗅覚の一次中枢である嗅球までの長距離を、鎖状に連なって移動していく。また脳梗塞後には、幼若ニューロンは脳室下帯から梗塞巣に向かって移動していくことから、脳室下帯におけるニューロン新生のメカニズムの解明は、神経再生を実現するための重要な課題でる。 我々は本年度、脳室下帯における神経前駆細胞の増殖/分化が、Wntシグナル経路に関与する分子β-Cateninによって制御されていることを明らかにした(Adachi, et. al, Stem Cells, 2007)。また、細胞の移動に不可欠な細胞骨格系の制御に関与する分子Cdk5が、嗅球に向かう幼若ニューロンの鎖状連結の形成や移動の方向性・速度の制御に必要であること(Hirota et al, J Neurosci, 2007)、脳室下帯付近で産生・分泌される忌避性のガイダンス分子Slitや血管との相互作用が、非侵襲時・脳梗塞後の幼若ニューロンの移動に重要な役割を果たしていることを見いだした(未発表)。 既存の神経回路を妨げることなく傷害を受けた脳を再生するには、ニューロンの産生を制御し、これらを目的の障害部位に誘導する一連の過程を包括的に理解することが不可欠である。幼若ニューロンの産生・移動を制御する細胞内外の機構の一端を解明したこれらの成果は、今後の神経再生医療の進展に貢献するものである。
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Research Products
(5 results)