2008 Fiscal Year Annual Research Report
アンギオテンシン変換酵素(ACE)のアミロイドベータ蛋白分解作用に関する研究
Project/Area Number |
19300138
|
Research Institution | National Institute for Longevity Sciences,NCGG |
Principal Investigator |
道川 誠 National Institute for Longevity Sciences,NCGG, アルツハイマー病研究部, 部長 (40270912)
|
Keywords | アルツハイマー病 / アンギオテンシン変換酵素 / アミロイドベータ蛋白 / 蛋白分解酵素 |
Research Abstract |
(背景)研究代表者らは、ACE阻害剤の服用が、脳内Aβ沈着を増強させることを見出した。ACE阻害剤は金属キレータであるためACE活性阻害以外の別の作用を持つと考えられる。ACE阻害剤がTg2576マウス脳のAβ沈着を増加させるという我々の発見が、本当にACE活性阻害の結果か否かを、ACE koあるいはAPP tgマウスとTg2576マウスの交配マウス脳の解析を通して検証した。更に、ACEのドメイン特異的な作用について検討した。(結果)Tg2576xACE Tg,Tg2576xACE Koを交配させ、Tg2576・ACE Tg++/+、Tg2576・ACE wtならびにTg2576・ACE+/-マウスを作成した。上記マウスを解析に適した時期(17ヵ月)まで飼育維持し、解析を行った。その結果、ACE-/+によってAβの沈着の増加傾向が見られた。しかし、解析したマウス数が十分でなかったため、統計学的な有意差はでなかった。一方、ACE gene doseが増えた場合にも、Aβの沈着の増加が有意に見られた。これらの結果を一元論的に説明するのは困難であり、レニンアギオテンシン系は、Abeta代謝系に対して複数の作用点で関与している可能性がある。本年度は、そのメカニズム解明を現在行った。一方、ACEは、N端側、C端側に2つの機能ドメインを持つことが分かっている。これらのドメインを安定導入した細胞株を樹立し、これらのドメインがそれぞれ持つ機能(Aβ1-42をAβ1-40に変換する作用、angiotensin Iをangiotensin IIに変換する作用)を検討した。本年の研究から、N端側、C端側にある2つの機能ドメインは、それぞれアンギオテンシンIの変換作用とAβ1-42の変換作用を別々に持つことが明らかになった(論文投稿準備中)。
|