2008 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖異常に起因するヒト疾患モデルマウスの開発と発症機構の解析
Project/Area Number |
19300144
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
浅野 雅秀 Kanazawa University, 学際科学実験センター, 教授 (50251450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 憲佳 金沢大学, 学際科学実験センター, 准教授 (50242524)
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Keywords | IgA腎症 / ミオパチー / 糖鎖 / ガラクトース転移酵素 / シアル酸生合成 / 記憶・学習 / 行動解析 |
Research Abstract |
(1) DMRVモデル(GNE点変異マウス)の解析 GNE点変異マウスに出現する封入体と加齢した野生型マウスにみられる管状凝集体は,構造的に類似していることがわかった。質的な違いを検討したところ,GNE点変異マウスの封入体はオートファジー様の変化が出現することがわかった。また,筋細胞表面の膜タンパク質の糖鎖構造を各種レクチンを用いて解析したところ,シアル酸が欠損したタンパク質をいくつか検出することができた。 (2) IgA腎症モデル(β4GalT-1遺伝子欠損マウス)の解析 β4GalT-1遺伝子欠損マウスに正常マウスの骨髄を移植した場合は,IgA腎症を抑制するまではいかなかったが,血中IgA濃度は抑制されることがわかった。また,逆の移植では予期せぬことであったが,β4GalT-1遺伝子欠損マウスの骨髄細胞が生着しないことがわかった。こちらは骨髄細胞のホーミングという視点で新たなプロジェクトを開始した。一方,β4GalT-1遺伝子をB細胞で過剰発現するTgマウスの作製を進めており,IgAの糖鎖異常とIgA腎症の関連を明らかにする。 (3) β4GalT-2遺伝子欠損マウスの解析 β4GalT-2遺伝子欠損マウスの行動解析をテストバッテリー式に行ったところ,空間学習と協調運動/運動学習に障害があった。HNK-1糖鎖の発現が,β4GalT-2遺伝子欠損マウスの海馬や大脳皮質で顕著に減少していた。HNK-1糖鎖の合成を担うGlcAT-P欠損マウスも空間学習に障害があったが,協調運動には問題がなかった。したがって,β4GalT-2はHNK-1糖鎖の合成に必須であり,β4GalT-2遺伝子欠損マウスの空間学習障害は海馬でのHNK-1糖鎖の消失が原因であるが,協調運動の障害は別の機能性糖鎖の関与が考えられた(JBC in press)。
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Research Products
(12 results)