2009 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖異常に起因するヒト疾患モデルマウスの開発と発症機構の解析
Project/Area Number |
19300144
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
浅野 雅秀 Kanazawa University, 学際科学実験センター, 教授 (50251450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 憲佳 金沢大学, 学際科学実験センター, 准教授 (50242524)
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Keywords | IgA腎症 / ネフローゼ / 糖鎖 / ガラクトース転移酵素 / シアル酸生合成 / 骨随移植 / 行動解析 |
Research Abstract |
(1) GNE(シアル酸合成酵素)点変異マウスの解析 当初はヒトの遺伝性筋疾患であるDMRVのモデルマウス作製を目指していたが,結局マウスでは顕著な筋繊維の変性や筋力低下は見られなかった。しかし,若年よりタンパク尿が顕著に見られ,ネフローゼ症候群様の病態を示すことがわかった。糸球体の濾過機能を担う足細胞に発現しているPodocalyxinのシアル酸欠損により濾過機能が破綻していることが強く示唆され,論文投稿準備中である。 (2) β4GalT-1(ガラクトース転移酵素)欠損マウスの解析 β4GalT-1欠損マウス由来の骨髄細胞を正常マウスに移植してもほとんど生着しないという興味深い現象を見いだした。骨髄幹細胞自身の増殖性やコロニー形成率には問題がなく,骨髄へのホーミングが障害を受けていた。骨髄幹細胞の骨髄へのホーミングを制御する新しい糖鎖接着分子の存在を示す結果であり,臨床面での応用も期待される。論文投稿を進めている。一方,このマウスのIgA腎症の発症機構を解明するためにB細胞にβ4GalT-1を強制発現するTgマウスを作製した。本研究は終了するが,別のプロジェクトでIgA分子の糖鎖を正常に戻すとIgA腎症の発症が抑えられることを示したいと考えている。 (3) その他のβ4GalT欠損マウスの作出と解析 β4GalT-2欠損マウスが空間学習・記憶や運動学習・協調運動に障害があることを明らかにした研究は論文として発表した(JBC,2009)。次に作製したβ4GalT-5欠損マウスは,予想に反して発生初期に致死となることを見いだした。テトラプロイドレスキュー実験により,胚体よりは胚体外組織の異常が致死の原因であることを明らかにした。この成果は論文投稿中である。
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Research Products
(14 results)