2009 Fiscal Year Annual Research Report
実験用小型淡水魚類卵子の凍結保存:耐凍剤チャンネルの人為的発現によるアプローチ
Project/Area Number |
19300147
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
葛西 孫三郎 Kochi University, 教育研究部・自然科学系, 教授 (60152617)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
枝重 圭祐 高知大学, 教育研究部・自然科学系, 教授 (30175228)
越本 知大 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 教授 (70295210)
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Keywords | 凍結保存 / 魚類卵子 / 水チャンネル / ゼブラフィッシュ / 細胞膜透過性 |
Research Abstract |
昨年度は、ゼブラフィッシュの小型で未熟なstage III中期卵子の体外成熟培養系を開発した。さらに、この卵子に水・耐凍剤チャンネルであるaquaporin 3(AQP3)のcRNAを注入し、成熟率、受精率、孵化率に大きな影響を与えることなく、細胞膜の水透過性と種々の耐凍剤に対する透過性を向上させることに成功した。本年度は、AQP3を発現させたstage III中期卵子の耐凍剤毒性に対する感受性をしらべ、さらにガラス化凍結保存を試みた。卵子を25℃の10%プロピレングリコール添加90%LM液に1時間浸しても、AQP3の発現の有無にかかわらず、成熟率、受精率、孵化率はほとんど低下しなかった。したがって、プロピレングリコールはゼブラフィッシュstage III中期卵子の凍結保存に適していると考えられた。しかし、30~40%のプロピレングリコールとフィコールおよびシュークロースを含むガラス化保存液PFSに25℃で1~3分間浸した場合、AQP3の発現によって膜透過性は向上したものの、成熟率および受精率は著しく低下し、孵化した卵子はいなかった。次に25℃のPFS液で2分間処理してから、クライオループを用いて超急速ガラス化凍結した後に融解した結果、AQP3の発現にかかわらず、全ての卵子は融解後に細胞膜が破裂して死滅した。従って、細胞内氷晶形成による傷害を受けたと推察された。ゼブラフィッシュ卵子の凍結保存を実現するには、膜透過性をさらに向上させて細胞内氷晶形成を抑制する必要があると考えられる。
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Research Products
(14 results)
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[Journal Article]2010
Author(s)
Magosaburo Kasai
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Journal Title
Movement of water and cryoprotectants in mouse oocytes and embryos at different stages : relevance to cryopreservation. In : Chian R, Quinn P(eds.), Fertility Cryopreservation(Cambridge University Press, Cambridge, U.K.)
Pages: 16-23
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