2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19300152
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
栗城 眞也 東京電機大学, 先端工学研究所, 教授 (30002108)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横澤 宏一 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (20416978)
竹内 文也 北海道大学, 保健科学研究院, 准教授 (30281835)
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Keywords | 脳情報 / 脳磁界 / 認知機能 / 情報処理 |
Research Abstract |
本研究では,MEG(脳磁界)を中心として認知的脳活動を無侵襲的に計測し,定量的な脳情報信号として抽出することを目的とし,脳情報の検出と読み出しに関する検討を行った. 視覚画像の好悪判断の研究において,好悪画像間で一定の視覚的情報の差異をなくし,被験者個人の主観的な判断で好悪を決定する画像を用いた実験を行った.多数の生物画像(昆虫や動物,ペットなど)の中から,被験者ごとにアンケート回答の結果に基づきプラス,マイナス得点の大きな画像をそれぞれ好き,嫌い刺激として15枚ずつを選別し,被験者にランダムに提示した.データ解析では外因性の誘発反応を除去するために画像呈示開始から1-3sec間のMEG自発性リズム(10Hz)を抽出し,エポック間での位相コヒーレンスを算出した.その結果,10Hzリズムの観測された9名のなかで8名において好悪画像間で有意なコヒーレンス値の差異が認められ,うち7名ではコヒーレンス値は嫌い>好き画像の関係であった.以上から,アルファ波の位相同期性に主観的な好悪認知が反映されていることが分かった. 次に,昨年度の研究で行った聴覚定常反応(SSR)の計測・解析法を活用し,左右耳で異なるピッチからなる音列(ハ長調音階の8音)を競合的に聴取させたときに生じる錯聴現象(音階錯聴:Deutsch 1975)の研究を行った.音階錯聴ではピッチが1音ごとに上下する個別の刺激音を左右耳に与えるが,知覚認知される音列はスムーズな輪郭をもったメロディー(左右の音列で高音部,低音部を分ける)となる.聴覚SSRのピッチ-振幅特性を用いてMEGデータを解析した結果,聴覚野は刺激音列よりも被験者が知覚認知したメロディーに沿った活動をしていることが分かった.このことは,高次な認知現象と考えられる錯聴が低次な感覚野ですでに起きていることを示唆する.
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Research Products
(16 results)