2008 Fiscal Year Annual Research Report
細動脈血管壁の力学的仕事量とエネルギー消費に関する研究
Project/Area Number |
19300154
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
柴田 政廣 Shibaura Institute of Technology, システム理工学部, 教授 (60158954)
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Keywords | 生物・生体工学 / 細胞・組織 / 循環器・高血圧 / 生理学 |
Research Abstract |
前年度までの研究により、骨格筋の細動脈血管壁での酸素消費はこれまで考えられていたよりも遥かに大きく、また血管緊張度にも依存し拡張時には低下することが明らかになった。一方、血管内皮で産生される一酸化窒素(NO)は血管調節因子として強力な血管拡張作用を有する。高血圧症や老化による血圧上昇、あるいは運動時の血流増加にこのNOが関与していることは知られている。さらにNOはミトコンドリアの呼吸を抑制し、組織の酸素消費を減少させることも知られている。そこで、血管内皮でのNO産生の多少が、細動脈血管壁の酸素消費にどのような影響を与えるか検討した。NO産生の促進は、分岐細動脈の一方を機械的に圧迫し他方の血流を増加させることにより、またNO産生の抑制は、NOS阻害剤を血中投与して行った。その結果、NO産生促進による細動脈の拡張は血管壁での酸素消費を減少させ組織の酸素化を促す効果が見られた。一方、NOSの阻害によるNO産生の減少は、血圧上昇(細動脈収縮)を惹起するとともに血管壁での酸素消費を有意に増加させた。本結果は、高血圧や加齢においては、従来からの血管障害のリスクに加え、新たに組織の低酸素化に対する配慮も必要であることを意味する。
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