2009 Fiscal Year Annual Research Report
細動脈血管壁の力学的仕事量とエネルギー消費に関する研究
Project/Area Number |
19300154
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
柴田 政廣 Shibaura Institute of Technology, システム理工学部, 教授 (60158954)
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Keywords | 生物・生体工学 / 細胞・組織 / 循環器・高血圧 / 生理学 |
Research Abstract |
これまでの2年間の研究により、生理的状態にある細動脈血管が正常に機能するためには従来考えられていた以上の酸素が必要で、その酸素消費量は血管壁の運動量に依存することが明らかになった。一方、組織の低酸素に対する生体制御反応として血管新生が惹起されるが、新生血管自身の酸素消費を考慮した研究はない。最終年度である本年度は、これまでに得られた微小循環での酸素ダイナミクスの研究成果を総合的に解析し、最も効率的に組織へ酸素供給するための血管新生を誘導できる条件を探索した。毛細血管血流の増加により血管新生が誘起されることを生体顕微鏡下で明らかにした。また毛細血管血流は組織酸素分圧に強く依存し、毛細血管新生のみに注目した場合は、低酸素環境が有利であると考えられる。さらに、in vivo創傷治癒モデルを用いた実験においても低酸素環境が毛細血管新生を上昇させることが示された。一方、創傷部位の再生過程の観察においては、低酸素環境は新生毛細血管数が多いにも係わらず、創傷の治癒には時間を要した。以上の結果より、組織再生時においては、初期の毛細血管が欠如している時期には低酸素環境が適し、一定の血管新生が得られた時期からは通常酸素環境にすることが有効ではないかとの結論に至った。
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