2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19300155
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 希美子 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 講師 (00323618)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 譲二 獨協医科大学, 医学部, 特任教授 (20159528)
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Keywords | 細胞・組織 / 生理学 / バイオメカニクス / 機械刺激 / ナノイメージング |
Research Abstract |
血流に起因する剪断応力を血管内皮細胞が最初に感知する機構とそれに関与する分子を明らかにする為、培養血管内皮細胞に流れ負荷装置で定量的な剪断応力を作用させ、(1)細胞膜の流動性および膜脂質の変化、(2)イオン・チャネルの反応、(3)剪断応力によるATP放出の分子機構についてバイオイメージング技術を応用して解析した。 1.細胞膜の流動性および膜脂質の変化:剪断応力下の膜の流動性の変化については蛍光プローブDiIC_<16>と共焦点レーザ顕微鏡を用いたFRAP (fuorescence recovery after photobleaching)法で測定し、膜脂質については脂質膜がゲル相から液相へ相転移するときに波長がシフトする蛍光プローブLaurdanと2光子励起顕微鏡を用い、コレステロールとスフィンゴ脂質が高密度に分布するラフト・ドメインの動態変化を可視化した。剪断応力により細胞膜の流動性が増大し、脂質ラフト領域が流れの上流に移動する様子が観察された。 2.イオン・チャネルの反応:細胞内情報伝達系の主要なセカンドメッセンジャーであるカルシウムの流入に関わるカチオン・チャネルの反応に焦点を当て、単一の内皮細胞において剪断応力が惹起する細胞内カルシウム濃度変化をカルシウム感受性プローブであるIndo-1と共焦点レーザ顕微鏡により実時間イメージングを行った。剪断応力依存的に上昇するカルシウムはATP作動性イオンチャネルであるP2X4レセプターを介し、細胞膜脂質ラフトよりカルシウム波が発火することが明らかとなった。 3.剪断応力によるATP放出の分子機構:内皮細胞に剪断応力を作用させたときのATP放出部位を解析するため遺伝子工学的に作製したストレプトアビジン・ルシフェラーゼ融合蛋白質を用いてイメージングを行った。細胞から放出されたATPが惹起するルシフェリン・ルシフェラーゼ反応により発生する化学発光を冷却型EM-CCDカメラで観察した。剪断応力により放出するATPは細胞膜脂質ミクロドメインとその局在が一致することが確認された。
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Research Products
(22 results)