2009 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質工学による神経幹細胞移植用スキャフォールドの設計
Project/Area Number |
19300171
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加藤 功一 Kyoto University, 再生医科学研究所, 准教授 (50283875)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 博夫 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (30160120)
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Keywords | キメラタンパク質 / 再生医療 / 中枢神経 / 細胞増殖因子 / 幹細胞移植 / バイオマテリアル / ハイドロゲル / 自己組織化 |
Research Abstract |
昨年度までの研究の結果、神経幹細胞の生存や増殖性を高めるハイドロゲル状のスキャフォールドには、細胞分裂の促進効果のある上皮増殖因子(EGF)を組み込むことが有効であることがわかった。また、ベース材料としてコラーゲンを用いると、ゲル化を利用した細胞の封入が容易で、かつ、コラーゲン結合性ポリペプチドを用いた制御因子の担持を効果的に行うことのできることがわかった。そこで本年度はさらに、EGF担持ハイドロゲル-神経幹細胞複合体の系について、ゲル内部で増殖した細胞の分化状態について調べた。ゲル内で増殖した細胞を回収し、マーカー遺伝子(ネスチンおよびクラスIIIβチューブリン)の発現をリアルタイムPCR法によって定量した結果、ゲル内部の細胞の多くは神経幹細胞のマーカーであるネスチンを発現していた。 一方、封入された神経幹細胞の生存をさらに向上させるには、スキャフォールド内部での細胞の接着状態を改善することが有効であると考えた。コラーゲンは神経幹細胞に対して比較的不活性であり、分散状態におかれた細胞はアポトーシスを起こしやすいと考えたからである。そこで、インテグリンと相互作用することが知られているラミニン由来のG3ドメイン複合体をコラーゲンゲル内部に担持させた。このゲルの内部では、細胞がインテグリンを介して接着することに起因して、細胞の生存率が培養細胞を用いたin vitro試験および健常ラット脳におけるin vivo試験の双方において向上することがわかった。 以上のように、コラーゲンゲル内部における細胞の増殖性と接着性を向上させるための手法が確立された。
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