2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19300173
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
青柳 隆夫 National Institute for Materials Science, 生体材料センター, 領域コーディネーター (40277132)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山元 和哉 鹿児島大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (40347084)
青木 隆史 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (80231760)
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Keywords | 温度応答性 / コアセルベート / 相分離挙動 / 相転移挙動 / ハイドロゲル / 分子認識 / 水和現象 / 脱水和現象 |
Research Abstract |
昨年度合成に成功した水酸基を有する新規温度応答性ポリマーとカルボキシル基を有する温度応答性ポリマーの相互侵入網目構造型のミクロゲルの温度応答性を評価した。ゲルは酸性条件下からpH6付近を上回った所で急激に膨潤し、不連続的な体積変化を示した。これはゲルの網目に物理的に絡まった状態で存在しているカルボキシル基ポリマー鎖が、そのpKa近傍であるpH6付近で急激に脱プロトン化が促進され、イオン水和による親水性の大幅な増加や高分子鎖間の静電反発によりゲルが膨潤したものと考えられる。 次に塩基性条件下において、マイクロゲルは温度上昇に伴い、二段階の収縮挙動を示すことがわかった。この条件下では、semi-IPNマイクロゲルを構成する二種類のHIPAAmポリマー鎖及びCIPAAmポリマー鎖の相分離温度はそれぞれ51.0℃及び70.0℃であることが確認されている。すなわち温度の上昇に伴い、始めに51.0℃に相分離温度を有するHIPAAmポリマー鎖のゲルネットワークが脱水和を引き起こしてゲルが収縮し、その後さらに高温度側で70.0℃に相分離温度をもつCIPAAmポリマー鎖の温度応答性に基づき再び収縮したため、結果的に二段階の応答挙動を引き起こしたものと考えられる。一方、酸性条件下においても、semi-IPNゲルを構成するHIPAAmポリマー鎖及びCIPAAmポリマー鎖の相分離温度はそれぞれ49.4℃及び28.0℃と大きな差があることが確認されている。しかし興味深いことに、この条件下でマイクロゲルは一段階の応答挙動を示した。これは酸性条件下ではCIPAAmポリマー鎖のカルボキシル基がプロトン化しているためにHIPAAm鎖のネットワークと水素結合により相互作用し、従ってCIPAAmポリマー鎖とHIPAAm鎖のネットワークが連動して協調的に温度応答性を誘起したため一段階の収縮挙動を引き起こしたことが考えられる。
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