2007 Fiscal Year Annual Research Report
高密度培養法を用いた組織モデル(血管・皮膚)の試作と移植に関する研究
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19300174
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
安達 栄治郎 Kitasato University, 大学院・医療系研究科, 教授 (30110430)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 敏夫 東京農工大学, 農学部, 教授 (60372455)
田川 陽一 東京工業大学, 生命理工学研究科, 准教授 (70262079)
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Keywords | 高密度培養装置 / 表皮増殖因子 / キメラ蛋白 / 人工皮膚 / 人工血管壁モデル / 人工肝臓モデル / コラーゲン / HepG2細胞 |
Research Abstract |
平成19年度においてはヒト体細胞を用いた人工皮膚、人工血管及び人工肝臓モデルの作成を試みた。その結果、人工皮膚についてはペプシン抽出I型コラーゲンと線維芽細胞より真皮モデルを作成し、その上にヒト表皮細胞を播種することにより皮膚モデル組織を再構成することが出来た。人工血管は皮膚の場合と同様にI型コラーゲンと線維芽細胞より血管の外膜に相当する結合組織を作成し、ヒト平滑筋細胞を重畳することにより中膜組織を作成できた。さらにI型コラーゲンと線維芽細胞の結合組織層を重ねることにより内膜相当組織を作成することが出来た。 人工皮膚モデル作成においては、遺伝子工学的に作成した表皮細胞増殖因子(EGF)とバクテリアのコラーゲン結合蛋白質のキメラ蛋白質を用いることにより、培養表皮細胞の重層化が可能であった。すなわち真皮モデルに不動化したEGFが後から播種した表皮細胞に作用して生体の皮膚に近い構造を1週間以内に再現したものと考えられる。 人工血管については血管壁モデルとして結合組織-平滑筋細胞層-結合組織の三層構造を高密度培養装置内に10時間で作成することが出来た。当初の計画では引き続き円筒状の血管モデルを作成する予定であった。しかし当初予定した管状の血管モデル作成用バイオリアクターは開発費の不足により困難となった。そのため管状組織(血管、尿管など)モデル用リアクター開発を目的とした新規の研究費を申請中である。 また、同じリアクターを用いて平滑筋細胞の替わりにHepG2細胞(株化した腫瘍性肝細胞)を用いたところ、結合組織-HepG2細胞層-結合組織の三層構造を作成することが出来た。人工組織が肝組織としての機能を発現しているかどうか検索したところ、アルブミン産生と尿素合成能が通常の二次元培養したHepG2細胞に比べ2-3倍に上昇していた。この結果は第40回日本結合組織学会(平成20年5月23日)において発表する予定である。
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