2009 Fiscal Year Annual Research Report
高密度培養法を用いた組織モデル(血管、皮膚)の試作と移植に関する研究
Project/Area Number |
19300174
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
安達 栄治郎 Kitasato University, 医療系研究科, 教授 (30110430)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 敏夫 東京農工大学, 農学部, 教授 (60372455)
田川 陽一 東京工業大学, 生命理工学研究科, 准教授 (70262079)
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Keywords | コラーゲン / 人工肝組織 / バイオリアクター / スキルス胃癌 / 鼓膜穿孔 / 補修材 / 細胞成長因子 / コラーゲン結合ドメイン |
Research Abstract |
平成21年度は下記のような研究成果を上げることができた。 (1) 肝前駆細胞からバイオリアクターを用いて人工肝組織を再構成した。 (2) 線維芽細胞が癌原性発現に重要性であることを示した。 (3) 細胞成長因子を固相化したコラーゲンゲルは鼓膜穿孔治療に有効であることを示した。 コラーゲンなどの細胞外マトリックスと様々な細胞(iPS細胞や前駆細胞)から積層型人工組織を作成することを試みた。肝前駆細胞はマウス門脈の左枝を結紮し、7日後に下大静脈から肝静脈経由でデイスパーゼを含む緩衝液を還流すことにより回収した。細胞分裂能の高い肝前駆細胞を3次元培養したところ、アルブミンやトランスサイレチンのメッセージ発現が初代培養肝細胞を用いて作成した人工肝組織より有意に上昇し、生存率も高かった。これらの結果から体細胞だけでなく前駆細胞、ES細胞あるいはiPS細胞から短期間内に人工組織を再構成できることを示した。 DsRed発現ベクターを導入した線維芽細胞(TIG101)と株化スキルス胃癌細胞(KATOIII)をバイオリアクターにより3次元胃癌組織モデルに再構成した。移植後のスキルス胃癌モデルにおける線維芽細胞の動態を経時的に解析した。線維芽細胞は移植後21日目においても多数移植組織内にとどまっており、スキルス胃癌組織の移植モデル動物を作成するには線維芽細胞と胃癌細胞との共存が重要であることがわかった。 クロストリジウム属細菌の持つコラーゲナーゼのコラーゲン結合ドメインと上皮成長因子との融合蛋白(CBD-EGF)を用いた実験から鼓膜穿孔の補修材を開発することができた。バイオリアクターを用いて豚皮由来I型アテロコラーゲンから無細胞性のコラーゲンゲルを作成した。このゲルをCBD-EGF溶液に30分浸漬した後、ラットの実験的鼓膜穿孔部に補修材として用いたところ良好な孔閉鎖が得られた。この結果は近日中に特許として出願する。
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