2008 Fiscal Year Annual Research Report
微小重力環境を利用した未分化間葉系幹細胞のダイナミズム
Project/Area Number |
19300191
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
弓削 類 Hiroshima University, 大学院・保健学研究科, 教授 (20263676)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田原 栄俊 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00271065)
梶梅 輝之 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (40278924)
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Keywords | 微小重力環境 / 間葉系幹細胞 / テロメア / 再生医療 |
Research Abstract |
我々は,これまでに人工無重力装置(3D-クリノスタット)を使った微小重力(10^-3G)環境でヒト間葉系幹細胞(human mesenchyma stem cells: hMSCs)を培養すると,通常の1G環境で培養した場合と比較して,未分化のまま増殖すること,またその分化能および細胞移植後の生着率も良いことを報告している(平成14年度〜17年度基盤研究C)(Stem Ceis Dev,15:921-929,2006).本研究課題では,幹細胞の自己複製能および多分化能のメカニズムを解明のため,(1)細胞骨格の変化について,(2)テロメアを未分化維持について検討することを目的としている. 本年度は,テロメアについて解析した.その結果,3D-クリノスタットを使用した微小重力環境で培養したhMSCsは,培養開始時と比較して,テロメア長に変化はなかった.しかし,通常の1G環境で培養した対照群では,テロメア長が経時的に短くなった.テロメアーゼの活性には両群共に差がなかった.テロメアは細胞寿命に関連し,細胞分裂をするたびに短縮することが知られている.微小重力環境で培養した群の方が細胞数が増加したにも関わらず,テロメア長が短縮しなかったことは,微小重力環境で細胞の老化抑制を示唆するものである.再生医療において,ドナー細胞の寿命がレシピエントの寿命より短いことは,生着率の点で問題が生じる可能性があるが,この問題を回避できる可能性があると考えられる. 昨年度は,微小重力環境での未分化維持メカニズムとして細胞骨格に着目して解析し,hMSCsを微小重力環境で培養すると,ビンキュリンやストレスファイバーの発現が弱くなったことを報告した.来年度は,微小重力環境での未分化維持について,これまでのデータの関連性を検討する.
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Research Products
(2 results)