2008 Fiscal Year Annual Research Report
運動遂行時における一次感覚野および運動前野の役割について-脳磁図を用いた研究-
Project/Area Number |
19300194
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
大西 秀明 Niigata University of Health and Welfare, 医療技術学部・理学療法学科, 教授 (90339953)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相馬 俊雄 新潟医療福祉大学, 医療技術学部・理学療法学科, 准教授 (40339974)
大山 峰生 新潟医療福祉大学, 医療技術学部・作業療法学科, 教授 (10367427)
久保 雅義 新潟医療福祉大学, 医療技術学部・理学療法学科, 教授 (50460332)
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Keywords | 脳磁図 / 運動関連脳磁界 / 運動準備磁場 / 運動誘発磁場 / 運動感覚 / 皮膚感覚 / 視覚刺激 / 運動前野 |
Research Abstract |
本研究では運動遂行時に脳から発生する磁界反応を計測・解析することにより,ヒトを対象とした運動制御機構のメカニズムの解明を目的としている.自発運動直後に記録される「運動誘発脳磁場」,および運動開始前に観察される「運動準備磁場」の電流発生源とその発生メカニズムを明確にする.まず,運動直後の成分である運動誘発脳磁界成分を検討することを目的として,軽度の皮膚触覚刺激時における脳磁界反応を計測・解析した.その結果,触覚刺激時には刺激後50ミリ秒程度で対側一次体性感覚野に強い活動がみられ,刺激後170ミリ秒で同側の二次体性感覚野の活動が認められた.また,触刺激の加圧時および除圧時ともに同様の結果が得られた.これらの活動は運動遂行後に誘発される運動誘発脳磁界の第二成分と同様の反応ではないかと推察された. 次に,運動開始前の運動準備磁場の成分を検討するために,光刺激に反応して可能な限り早急に運動を開始する実験を実施した.3種類の光刺激をランダムに提示し,そのうち1種類の光刺激にのみ反応して可能な限り早く運動を遂行するように設定した.実験に先立ち,光刺激提示システムを作成し,光刺激の種類や刺激提示間隔を様々に設定できるプログラムを作成した.作成した光刺激を利用して運動遂行時の脳磁界反応を計測した結果,光刺激後約100ミリ秒後に一次視覚野の活動が見られ,約200ミリ秒後に運動開始直前の「運動磁場」,約300ミリ秒後に「運動誘発脳磁場」の第一成分が観察された.自発運動時の脳磁界反応に比較して,光刺激をトリガーとした運動時には運動準備磁場の大きさが小さく,先行研究の報告と同様であった.また,運動準備期間に一次運動野以外の活動が認められた被験者が数名いた.今回得られた結果ではデータにバラツキが認められたが,課題を修正することにより,運動準備磁場の電流発生源および意義を解析できる可能性が示唆された.(789字)
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