2007 Fiscal Year Annual Research Report
新自由主義思想と生涯スポーツ振興体制の構造変容に関する研究
Project/Area Number |
19300214
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
柳沢 和雄 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (60191152)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 紀宏 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (50196531)
八代 勉 東亜大学, サービス産業学部, 教授 (70015866)
天野 和彦 東亜大学, サービス産業学部, 講師 (50389144)
作野 誠一 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 准教授 (60336964)
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Keywords | 新自由主義 / 地方分権化 / 民営化 / ガバナンス |
Research Abstract |
今年度は、研究を開始するに当たって、基本的な概念や研究の方向性などについて研究分担者間での共通理解を促すこと、個別の研究課題を確認することを目的として研究会を開催した。まず、新自由主義に関する基礎的理解のために、主にD.Harveyの論考について議論した。その結果、D.Harveyの論考は経済のグローバリゼーションを前提に経済体制を批判することに主眼が置かれているため、議論が拡散してしまう。従って、新自由主義思想家における市場原理と競争秩序から派生してくる地方分権化や民営化に議論を絞り込み、議論していくこととした。また、新自由主義(ネオリベラリズム)に関連した基本的概念として、リバタリアニズム(自由市場主義)、リベラリズム(自由主義)、ネオコンサバティブ(新保守主義)などについても確認を行った。そして、新自由主義への対抗戦略として取り上げられているガバナンス論、ソーシャルガバナンス論について、宮川公男、神野尚彦らの論考を整理した。これらの概念整理を前提に、研究分担者の役割分担と研究課題が議論された。まず、基本的な概念やその思想的経緯の整理は継続して行うことが確認された。総合型地域スポーツクラブ問題については、国の政策として展開されている現状に関する問題提起がなされ、行政の守備範囲論や住民主導型地域スポーツ振興との関係を検討することが確認された。スポーツ指導者養成制度については、民営化されたにもかかわらず中央集権的に制度が運営されている現状が指摘され、現実の指導者の混乱を明らかにしなければならないことが確認された。指定管理者制度に関しては、サービス向上と経費節減の実態を検討すること、また1自治体が多様な組織に指定管理を代行させているケースがあることから、自治体全体のガバナンスを検討する必要があることが確認された。市町村合併と組織再編に関しては、体育指導委員組織の定員の減少と活動の形骸化が指摘され、その現状確認がなされた。そしてこれら組織の再編が地域スポーツ振興に及ぼす影響をスポーツ事業と事業参加者の立場から検討する必要性が確認された。
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