2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19300225
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Research Institution | National Institute of Health and Nutrition |
Principal Investigator |
江崎 治 National Institute of Health and Nutrition, 基礎栄養プログラム, プログラムリーダー (90191923)
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Keywords | 遺伝子 / 生体分子 / 糖尿病 / 発現制御 / バイオテクノロジー / 運動 |
Research Abstract |
運動を行うとMEF2を介した転写活性化がおこることが多数報告されている。GLUT4の発現調節領域にもMEF2結合部位があるため、運動によるGLUT4発現増加にMEF2結合部位が関与している可能性がある。しかし、骨格筋特異的にMEF2Aを過剰発現させたマウスを作製したが、GLUT4発現量の増加は認められなかった。この原因として、MEF2A以外のMEF蛋白が関与する可能性がある。各種MEF2蛋白に結合し、MEF2の機能を亢進させる転写共役因子PGC-1αを筋肉で増加させた場合、GLUT4量が増加するか調べた。ESTライブラリーを検索中、PGC1-α mRNAにはスプライシングやエクソンの異なる3種類(PGC1-α-a,PGC1-α-b,PGC1-α-c)が存在することを新規に見いだした。今まで知られていたのはPGC1-α-aである。PGC1-α-b,PGC1-α-cは蛋白質に翻訳された場合、PGC1-α-aに比べて少し小さいサイズになる。PGC1-α-b,PGC1-α-cはエクソン1bを使用するのに対し、PGC1-α-aはエクソン1aを用いる。又、発現調節機序も異なった。筋肉に於いて運動で増加するのは、新しく見いだしたPGC1-α-bとPGC1-α-cのmRNAであり、PGC1-α-a mRNA量は変化しなかった。一方、肝臓において絶食で増加するのはPGC1-α-a mRNAで、PGC1-α-bとPGC1-α-cのmRNA発現量は増加しなかった。褐色脂肪細胞で寒冷により増加するのはPGC1-α-bであり、PGC1-α-aは変化しなかった。以前の我々の研究ではPGC1-α-a過剰発現マウスは筋アトロフィーを生じ、GLUT4量を低下させたが(JBC2004,Am J Pathol 2006),PGC1-α-b,PGC1-α-c過剰発現マウスでは、GLUT4の減少は認められず、PGC1-α-bマウスではGLUT4mRNAの増加傾向が認められた。21年度はPGC1-α-bのMEF2への結合やGLUT4量発現増加機序、全身での糖脂質代謝への影響を調べる。
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