Research Abstract |
本年度に実施した研究の成果は以下の通りである. 1.前期高齢者に,12週間の「ホーム貯筋トレプログラム」を実施した結果,筋力の増加が認められた.また,トレーニング実施前の筋力レベルが低い者ほど,トレーニングによる筋力の増加率は高かった.以上の結果から,「ホーム貯筋トレプログラム」によって効果が期待できる筋力閾値は,脚伸展筋力が体重の約70%である可能性が示唆された. 2.若齢者および高齢者の男女を対象に,「ホーム貯筋トレプログラム」を構成している日常生活動作中の筋活動水準を,筋電図を用いて定量した結果,日常生活動作中の筋活動水準には性差および年齢差が認められた.また,体重当たりの筋力レベルが低い者ほど,日常生活動作中の筋活動水準が高いことが明らかとなった.以上の結果から,高齢者のように筋力レベルが低い者にとっては,日常生活動作であっても筋トレとしての効果が期待できる事が明らかになった。 3.日常的に簡便に筋量および筋力を評価するために,新しい評価指標を考案した。その結果,椅子の座り立ちテストで測定されたタイムおよび体格を変数として作成した新しい評価指標(座り立ちパワー指標)は筋量および筋力との相関関係が高かった.つまり,本研究で作成した評価指標は,これまでの筋力の評価指標よりも有用であることが示された. 以上のことから,「ホーム貯筋トレプログラム」による効果は,実施者の筋力レベルに左右される.そして,その筋力レベルを簡便に評価する指標を作成したことで,実施者の筋力レベルに適した運動プログラムを提供することができる.
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