2009 Fiscal Year Annual Research Report
"味"をデザインするタンパク質「ネオクリンとミラクリン」への応用
Project/Area Number |
19300248
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
朝倉 富子 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特任准教授 (20259013)
|
Keywords | 味覚修飾タンパク質 / ネオクリン / ミラクリン / 甘味タンパク質 |
Research Abstract |
ネオクリンとミラクリンは、酸味を甘味に変換するユニークな活性を有するタンパク質である。ネオクリンは、西マレーシア原産のフルーツCurculigo latiforiaの果実に存在し、この果物を口に含むと爽やかな甘味を感じるが、その甘味はやがて消失する。しかし、その後、酸や水を味わうと甘く感じられ、その活性は数十分持続する。一方、ミラクリンは、ミラクルフルーツの実に含まれ、ネオクリンと同様、酸を甘味に変える活性をもつが、それ自身を味わっても甘味は感じられない。一般的に酸味は甘味とは異なり、腐敗物を連想させる味として必ずしも好ましいとは認知されない。しかし、酸は体調を整えたり、体内のpHバランスを調整するために必要で、近年、酢の健康への効果が注目されている。本申請研究では、酸を誰もが好ましい味と感じる甘味に変化させる味覚修飾タンパク質を利用して、酸を摂取しやすくするためのツールとして利用する。 本年度は、ネオクリンを実際に利用するための方法として、ネオクリンの活性を効率良く発揮するための加工方法を模索し、ネオクリンを含む可食性フィルムの作製に成功した。ネオクリンは、比較的安定なタンパク質で、長期保存には耐えられるが、熱に対する耐性は低く、加熱加工ができない。今回プルランを主成分とするフィルムにネオクリンを分散することで、加熱処理を行わず、可食性フィルムの作製に成功した。ネオクリンを添加したプルランシートは、舌全体にネオクリンを広げることができ、酸味のある食品をプルランシート投与後に食した場合に、ネオクリンの効果が発揮されやすい。今後ネオクリン入りプルランシートを用いて、糖の摂取が制限されている人への利用を検討する。
|
Research Products
(18 results)