2009 Fiscal Year Annual Research Report
思春期女子における骨粗しょう症のリスク軽減と予防に関する遺伝栄養学的研究
Project/Area Number |
19300255
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
瀧井 幸男 Mukogawa Women's University, 生活環境学部, 教授 (70154937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 周美 武庫川女子大学短期大学部, 食生活学科, 講師 (60441234)
西村 沙矢香 武庫川女子大学, 生活環境学部, 助手 (00509177)
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Keywords | 遺伝栄養学 / 骨粗しょう症 / ストレス / 運動 / 思春期女子 / カルシウム摂取 / 爪遺伝子診断 / インフォームドコンセント |
Research Abstract |
女性は同年期の男性よりも骨粗しょう症を発症しやすいが、それは遺伝素因および食生活環境以外に、妊娠、出産、閉経という因子が加算されるからで、中高年層に達してからの骨粗しょう症対策では機を逸する。骨粗しょう症は環境(食生活)と体質(遺伝因子)が交互し発症するので、できるだけ早期に思春期女子を対象とする食育を行うことが肝要である。思春期女子の遺伝体質を網羅的に調査することを目的に、爪の切り屑とメロン果肉proteaseを併用する爪遺伝子診断法を開発した。 (1)思春期女子被験者に肉体的苦痛、心理的戸惑いを与えず、試料の大量回収保存が常時可能であった。 (2)爪細胞には遺伝子調製を妨害するDNA分解酵素が著量に存在するが、メロン果肉proteaseは、70℃、pH10、100mM EDTA(DNA分解酵素の阻害剤)共存という最適条件で当該酵素を完全に抑制し、遺伝子DNAが効率よく抽出された。 (3)微生物Bacillus alcalophilus subsp.haloduransのprotease遺伝子をクローニングし、大腸菌宿主に発現することにより、別途、唾液試料から遺伝子DNAを効率よく抽出できることが判明した。本遺伝子診断により、インフォームドコンセントが得られた附属女子高校生56名について、以下の成果が得られた。同時に実施した食生活調査では、朝食欠食率32%、間食摂取率68%であり、カルシウム、ミネラル摂取8%という適切とはいえない食生活状況であった。 (1)平均年齢16.7±1.35歳:平均身長158.4±4.8cm:平均体重51.2±4.8kgの56名について、骨量形成指標であるビタミンDレセプター遺伝子の分布は、正常型であるbb型が75%、変異型が25%となった。変異型25%の内訳は、Bb型が23%、BB型が2%であった。 (2)超音波骨評価により測定した骨密度分布は、3.20±0.25x10^6(OSI表示)であり、骨量充足率測定では、3名の95%を除き53名が100%充足していることが判明した。 この結果、思春期女子を含む若年女性を対象とし、統計学的成果を満たす被験者数(n=200)以上を容易に充足する遺伝子研究(爪、唾液を試料とする)調査の展望が得られた一方、予防栄養学すなわち副作用を伴う医薬品に依存することなく、日々三度の適切なカルシウム摂取に努める食育を適正に実践すれば、思春期女子の健全な骨量維持が図られることが示された。
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Research Products
(8 results)