2007 Fiscal Year Annual Research Report
新規酸化ストレスマーカーを用いた食品機能解析とリスク評価
Project/Area Number |
19300256
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
吉田 康一 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, ヒューマンストレスシグナル研究センター, 研究チーム長 (90358333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 芳郎 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンストレスシグナル研究センター, 研究員 (70357060)
二木 鋭雄 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンストレスシグナル研究センター, センター長 (20011033)
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Keywords | 酸化ストレスマーカー / トコフェリルキノン / グルタチオン / コレステロール / リノール酸 / ヒドロキシリノール酸 / ヒドロキシコレステロール / 抗酸化物質 |
Research Abstract |
本研究では、細胞および実験動物を用いて各種機能性食品や抗酸化物質を投与することによる、細胞や動物の応答を評価することである。脂質酸化生成物マーカ-やストレス応答タンパク質の変動を指標とした食品含有成分の機能評価法の確立を目的とし、最終的には動物実験によらず細胞実験で食品機能評価、抗酸化物質効能評価を達成することを目標とする。本年度は主として細胞実験でのストレッサーによる酸化ストレスマーカーの変動詳細検討(論文受理=2番目に記載)および動物実験による新規抗酸化物質の機能評価(論文受理:1番目に記載)を達成した。 (1)培養細胞を用いた抗酸化物質およびその代謝物のストレス応答解析 抗酸化物質として代表的な化合物であるビタミンE(トコフェロール)と、その酸化的代謝物のひとつであるトコフェリルキノン(TQ)の培養細胞におけるストレス応答の評価した。特に動植物に多く含まれているα体とγ体に注目し、細胞毒性抗酸化物質への影響について詳細に研究を行った。γ-TQはα-TQと比べ顕著な毒性が認められたが、のγ-TQは細胞内グルタチオン(GSH)を増加し、細胞内抗酸化の増強作用を有なることが判明した。このGSH増のγ-TQは細胞内グルタチオン(GSH)を増加し、細胞内の抗酸化能の増強作用を有することが判明した。このGSH増加作用は小胞体ストレスのひとつであるactivating transcription fctor 4(ATF4)を転写因子としたシスチン・グルタミン酸トランスポーター(xCT)の発現上昇が強く寄与していることが解明できた。これらの基礎研究から、トコフェロールの酸化的代謝物のトコフェリルキノンは前駆体にはない作用を有することがわかった。 (2)実験動物を用いた新規抗酸化能評価 ビタミンEをモデルに開発された新規抗酸化物質BO-653を長期間動物へ餌として与えることによって血液、各臓器での酸化ストレスマーカーがどのように変動するかを検証し、その結果からBO-653の抗動脈硬化能を科学的に推定した。一方で、キノン化合物の投与実験も進め、上記細胞実験で見出された現象が動物でも適用できるか詳細に検証中である。2008年度は引き続き細胞実験と動物実験を平行検証することによって、機能性食品、抗酸化物質の動物実験の代替リスク評価法確立へ向けてより詳細に研究を進める。 上記記載の通り、本年度の目標に対してほぼ予定通り研究を遂行し、国際誌2報に掲載される成果を得た。
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