Research Abstract |
e-Learning教材を用いた自学自習型学習は,学生の都合がよい場所,時間に自己のペースで学ぶ事が出来る学習環境であり,社会人が働きながら学べる新たな学びの場の提供手段として有効である.しかしこの学習方法は,学習上のちょっとしたつまずきや仕事の都合等による学習停滞,その他メンタル的な問題等での停滞が起きた場合,その状態が長期になるにつれて学習意欲が低下してしまうという問題があることがあげられる.この結果,通常の通信制遠隔学習の修了率が15%~30%と言われている. 我々は,IT大学院(平成14年開設)において300人以上の社会人教育の実績を有している.本研究は,このIT大学院においてより効果的なサポート方法の確立を目指すとともに,このサポートを人手をかけずにある程度自動的にかつ効果的に行うために必要なシステムを開発運用をすることで,e-Learningにおける教育の質の保証を継続的に実現する手法とシステムの確立を目指すものである. 具体的には,次の観点で研究を行う. (1)サポート手順の確立 遠隔学習者の状況に応じた適切なサポート手法を確立する. (2)学生の履修状況等を常に把握するICT履歴システム e-Learningで学ぶ学生の学習履歴を学生ID・修了単元・修了時刻などの生のデータとして散在する教材から収集し,学生・教員に様々な形で提示し,そこから得られる情報や学生とのメール・掲示板等でのやりとりを基に学生に対してサポートを効果的に行うためのICT履歴システムを開発する (3)学生一人一人全ての記録をとるICTティーチングケアシステム 学生のサポートを行う際,その都度単発的に行うだけではなく,これまでの学生の状況,学習進捗状況,やりとりの記録などを踏まえて担当する教職員間で情報を共有し,継続的に行う必要がある.従来の電子カルテシステムとは異なる,様々な形式のデータを収集しそれらを横断的に提示することのできる新しいティーチングケアシステムを開発する. (4)システムのセキュリティの確保 (2),(3)で開発する各システムでは,学生の氏名・住所や,学習状況,メンタル・肉体的な面を含めた体調など,極めて重要な個人情報を取り扱うため,情報漏洩対策が必要である.また,継続的なサポートを行うためにはデータの消失を防ぐ必要がある.
|