Research Abstract |
本年度は,学習者がデッサン描画途中に,情報を提供するシステムとして,領域情報提示システムを構築した.これは,学習者がデッサン画を描き終わってからデッサン画の誤りを指摘すると,大幅な修正が必要になることが多く,初心者のやる気を損失することもある.そこで,描画途中に適度な情報を与えることにより,大幅な誤りをおかさない機能を構築した.それは,学習者が描画途中に,画用紙上の各部にペンを近づけると,そこに描くべきものに関する情報を音声とテキストで提示するシステムである. また,このシステムは,領域に依存した情報を,ある広がりをもった領域内にペンがあるときに音声とテキストで提示するため,学習者は,その情報だけでは,デッサン画を描くことはできない.詳細な情報は,実際のモチーフを見る必要がある.このため,モチーフの認識を促進する効果もあると考えられる. システムの構成としては,WACOM製ペンタブレットIntuos2の上に画用紙を固定して,デッサンを描く.本研究における領域情報提示システムでは,仮想キャンバスではなく,現実世界の画用紙にデッサン画を描くときに助言を与えるのが目標である.そこで,その付属のペンに改良を加え,ペン先には鉛筆の芯を,反対側の端には消しゴムを取り付け,画用紙上でデッサンを描いたり,不要な線を消しながら,画用紙上でのペン先位置や,消しゴム位置を検出できるようにした.タブレットは,電磁誘導方式であるから,画用紙を通してでも位置の検出は可能である. 学習者がペンを紙の上に置くと,システムはペンの位置データを取得する.そして,あらかじめPC内に保存してあるモチーフ描画領域を参照することによって,学習者がどの領域を描いているかを決定し,その領域に応じた情報をデータベースから引き出し,学習者に提供する.学習者がこれから描こうとして,ペンを紙の上に持ってきたときには,システムはその領域に何を描けばいいかという情報を,学習者に提供する.つまり,学習者が描き始めるときに,紙の上の各領域で,適切な情報を提供することができるのである.
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