Research Abstract |
1. 研究期間全体を通しての研究目的 (1) スキル課題実行時において,「認識」に密接に関連する視線の動きの分析と,「行動」について腕動作の分析,そして,「認識と行動の対応付け」の分析を行う.これにより,成果物の誤りの原因と,「認識」「行動」「認識と行動の対応付け」の誤りの原因との間の因果関係が明らかになると予想される. (2) (1)の分析結果を踏まえて,学習者がスキル課題を実行しているときに,リアルタイムで視線の動きと腕動作の動きを診断し,最適なアドバイスを提示して,スキルの学習を支援する自習型学習支援環境の構築を行う. (3) 最後に,知見を一般化することにより,身体動作が伴うスキルの一般的性質を明らかにし,スキル学習支援システムの構築方法論を明らかにする. 2. 平成21年度の研究成果 (1) 磁気式位置センサを用いた料理時,弦楽器演奏時の手指動作の分析システムの構築と手指腕動作の分析 従来,手指の動きの計測には,複数台のカメラを用いて,手指関節のマーカを追跡して計測する光学方式や,データグローブを用いて計測する方式がとられていた.しかし,光学方式は,カメラの死角となるエリアにマーカが入ると計測不能になるため,複雑な手指の動きを計測しづらい.また,データグローブを用いる方法は,被験者の手指関節間の長さの違いを反映させた精密な動きの計測は不可能である.そこで,磁気式位置センサLibertyl6-16を用いて,各手指関節に磁気センサを取り付け,手指の関節間の個人差を反映した精密な動きを計測するシステムを構築した.また,そのシステムを用いて,料理(リンゴの皮むき)時や弦楽器演奏時の手指の精密な動きの計測を試みた.この手法は,磁気を用いているので,死角が存在しないという長所がある.また,指先に圧力センサを装着し,指先に掛かる圧力も分析した. (2) AR技術を取り入れたスケッチ学習支援環境の構築 以前から構築してきたスケッチ学習支援環境については,AR(拡張現実感)の技術を取り入れることにより,モチーフをCG化して,現実世界のテーブル上に表示して,学習者がスケッチを行う環境を構築した.これにより,学習者は,スケッチを行う上での視点を自由に選べるようになった.
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