2007 Fiscal Year Annual Research Report
石灰岩の風化・削剥速度とカルスト地形の形成プロセス
Project/Area Number |
19300305
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松倉 公憲 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (80107341)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松崎 浩之 東京大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (60313194)
八反地 剛 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 講師 (00418625)
青木 久 大東文化大学, 経営学部, 講師 (30423742)
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Keywords | 石灰岩 / 風化 / 削剥 / カルスト地形 / 風化速度 |
Research Abstract |
1.石垣島において,年代が既知の津波石を利用することにより,その下部に発達する石灰岩からなる台座岩の形成条件を吟味した.その結果,(1)台座岩が形成される条件として,津波石の打ち上げ時に地表面が土壌に覆われていないことが重要であること,(2)台座岩の形成速度は,基盤が石灰質砂岩であるときよりも,純粋な石灰岩である場合のほうが大きい,ことがわかった. 2.石灰岩タブレットを石灰岩流域と花崗閃緑岩流域に埋設し,両者の溶食速度の差異を検討した.その結果,pHと電気伝導度の低い花崗閃緑岩流域に埋設したタブレットのほうが,石灰岩流域に埋設したものよりも9倍も溶解速度が大きいことがわかった.このことは,石灰岩タブレットの溶解速度は,設置地点の水質条件に大きく依存していることが示唆された. 3.種々の気候環境において多様なカルスト地形を形成する石灰岩の溶解速度を調べるため,秋吉台(山口県),平尾台(福岡県),辺戸岳および山里(沖縄県)の各地で石灰岩ピナクルの頂部岩石を採取し,山里の試料において小さく,秋吉台および平尾台のおよそ半分の値であった.このことは,沖縄において石灰岩表面の溶食速度は約2倍大きいことを示唆している.この研究により,石灰岩の気候依存性を定量化するための糸口が得られた.
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