2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19310003
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
濱 健夫 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (30156385)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 雅男 気象庁気象研究所, 地球化学研究部, 主任研究員 (70354553)
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Keywords | 溶存態有機物 / 腐植物質 / 海洋炭素循環 / 西部北太平洋 / バクテリア生成物 / 固相抽出 |
Research Abstract |
海洋の炭素循環において重要な役割を果たしていると予想される海洋腐植物質について、主として1、海洋腐植物質の組成と光分解性、および2、単離バクテリアによる腐植物質生成過程、について検討した。 1、海洋腐植物質の組成と光分解性 西部北太平洋で得られた溶存態有機物試料について、固相抽出により海洋腐植物質を分画した疎水性画分と、非抽出画分の親水性画分の蛍光強度の鉛直分布を明らかにした。その結果、量画分共に表層で低く深層で増大する傾向は共通していたが、表層においては親水性画分に相当する蛍光はほとんど認められなかった。この結果は、疎水性画分に比較して親水性画分の光感受性が高いことを示唆している。これを実験的に明らかにするために、深層から得られた試料を用いて、光分解実験を実施した。光照射に対する親水性画分の蛍光強度の低下は、疎水性画分のそれに比較して顕著であり、親水性画分の光感受性の高さが証明された。また、疎水性画分の分子量分布をみると、光照射時間が長くなるにつれて、高分子画分の蛍光強度の低下が認められ、疎水性画分においても、分子量により光り感受性が異なることが明らかとなった。これらの変化は、海洋における蛍光特性の鉛直的な変化と一致しており、光反応により、海洋腐植物質の量および質の鉛直的な変化を生じていることを示している。 2、単離バクテリアによる腐植物質生成過程 海洋腐植物質の主要な生成要因と考えられるバクテリアを海洋から単離し、個々のバクテリア種を用いて、海洋腐植物質の生成実験を行った。その結果、バクテリアによる腐植物質の生成能力は種により大きく異なり、また生成される腐植物質において種による特性が確認された。外洋域における腐植物質は、質的な多様性に富んでいないことから、特定のバクテリアグループが海洋腐植物質の生成に関与していることが示唆された。
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