2007 Fiscal Year Annual Research Report
高度質量分析技術を用いたアジア有機エアロゾルの生成・消滅過程の研究
Project/Area Number |
19310005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹川 暢之 The University of Tokyo, 先端科学技術研究センター, 准教授 (00324369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 豊 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (20110752)
宮崎 雄三 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (60376655)
小池 真 東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (00225343)
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Keywords | エアロゾル / アジア / 質量分析計 / 吸湿特性 / 生成過程 |
Research Abstract |
(1)吸湿特性に応じた有機エアロゾルの新しい分類手法の開発 吸湿成長チェンバーとエアロゾル質量分析計(AMS)を融合して、エアロゾルを吸湿特性で分類する手法の開発を行った。当初は熱勾配法で水蒸気の過飽和状態を生成する予定であったが、静電分級法とAMSの分級特性を効果的に活用すれば、ナフィオン管を用いたシステムでも実現可能であることを見出した。平成19年度後半と平成20年度前半に新しいシステムの技術検討を行い、その試作機を開発した。 (2)有機エアロゾル質量スペクトルの高精度抽出アルゴリズムの開発 AMSの質量スペクトル特性を評価するために、様々な標準粒子を用いた室内実験を行った。その結果、アルカリ金属(Na、K、Rb、Cs)は他成分に比べて電子イオン化の効率が非常に高いため、これらの元素を微量でも含む粒子が存在する場合には、有機物の定量において大きな干渉となることを見出した。この実験結果を踏まえて、AMSの質量スペクトルから有機物ピークを高精度で抽出する方法を考案した。この結果については現在国際誌に投稿中である。 (3)アジア大都市の有機エアロゾル濃度変動とその吸湿特性の研究 2006年7-9月に中国の広州・北京で得た最新のデータについて、上記(2)で開発したアルゴリズムに従って解析し、無機・有機エアロゾル粒径別組成の時間変動を調べた。気象データや衛星観測データと組み合わせ、エアロゾル濃度の時間変動とその支配要因を明らかにした。この結果については現在国際誌に投稿中である。 (4)3次元モデルを用いたアジア大都市の有機エアロゾル生成・消滅メカニズムの定量化 3次元化学輸送モデル(CMAQ)を用いて有機エアロゾルの濃度を再現するための準備を行った。有機エアロゾル計算スキームとして最新のモジュールであるMADRID2を導入し、テスト計算を実施した。
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