2007 Fiscal Year Annual Research Report
バイオモニタリングを利用した高毒性有機ハロゲン化合物の簡易大気汚染評価法の構築
Project/Area Number |
19310014
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
宮田 秀明 Setsunan University, 薬学部, 教授 (80167676)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青笹 治 摂南大学, 薬学部, 助教 (20248066)
中尾 晃幸 摂南大学, 薬学部, 助手 (20288971)
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Keywords | 大気汚染 / 黒松針葉 / 臭素系難燃剤 / ハロゲン化環境汚染物質 / 大気汚染評価法 / 六臭素化シクロドデカン / ハロゲン化ダイオキシン類 / ポリ臭素化ジフェニルエーテル |
Research Abstract |
本研究においては多試料の黒松針葉と大気試料の高精度分析を行う必要があるために、アイソトープ希法を併用して、高分解能ガスクロマトグラフ・高分解能質量分析計(HRGC/HRMS)を用いたppt(10^<-12>g/g)オーダーのレベルにおける臭素系難燃剤および臭素系ダイオキシン類の高精度微量分析法を開発した。臭素系難燃剤の六臭素化シクロドデカン(HBCD)は、熱や光による分解を受けやすく、GC/MSによる分析が困難であるとされていたが、熱分解生成物を定量することによって、高精度な分析が可能になることを発見した。今回開発した分析法の概要は、均一試料作製、クリーンアップスパイク添加、トルエン還流抽出、硝酸銀シリカゲル精製、シリカゲル精製、活性炭混合シリカゲル精製、シリンジスパイク添加、HRGC/HRMS分析から構成されている。 大阪府枚方市の一地点において経週的に捕集した黒松針葉試料と大気試料を用いて、HBCD、ポリ臭素化ジフェニルエーテル、ポリ塩素化ジベンゾ-p-ジオキシン、ポリ塩化ジベンゾフランの濃度変動を明らかにした。大気試料はハイボリュームエアーサンプラーを使用し、100L/分の捕集速度で1週間にわたって1,000m3を捕集した。これらのハロゲン化環境汚染物質は、経週的な濃度変動は大きく、風速、気温、湿度等の気候条件に大きく影響されるものと推測された。また、発生源における排出濃度や発生濃度が経時的に大きく相違することも示唆された。 一方、黒松針葉中のハロゲン化環境汚染物質は、経週的な濃度変動は比較的少なく、また、大気中濃度に相関性を示す結果が得られた。黒松針葉中の濃度は、針葉の葉齢(月齢)と相関を示す傾向が観察された。現在、同一地点において黒松針葉と大気を捕集し、ハロゲン化環境汚染物質の計測を継続しており、次年度には黒松針葉を指標試料とした簡易かっ高精度の大気中POPsの汚染評価法が構築できるものと考えている。
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Research Products
(3 results)